2018年夏、300人以上のボクシング関係者から「助成金の不正流用」や「判定への介入」などの告発を受け、猛バッシングを浴びた日本ボクシング連盟前会長の山根明氏(81)。
結果、山根氏は会長職を辞任。アマチュアボクシング界からは永久追放されたが、「男山根」のキャッチフレーズと強烈キャラで、引退後にはバラエティ番組に登場するなど、タレント活動にも精を出していた。
そんな山根明氏と妻・智巳さんに密着したフジテレビのドキュメンタリー番組「ザ・ノンフィクション たたかれてもたたかれても… 〜山根明と妻のその後〜」が11月8日に放送され、その内容に賛否の声が上がっている。
番組を見たノンフィクションライターが語る。
「番組では本人たちの証言を軸に騒動当時の映像を織り交ぜながら、ふたりの出会いから現在までを描いていますが、テーマは夫婦愛。山根さんが世間からバッシングを受ける中、身を挺して彼を守ったのは28歳年下の妻。夫の辞任後、ようやく平穏な生活が訪れるかに思えた矢先、山根氏が80歳を目前に新たなボクシング団体の立ち上げを発表。そして今年に入って奥さんの経営するクラブが新型コロナウイルスの影響を受け、経営危機に陥るという流れ。取材した女性ディレクターは山根さん宅に何日も泊まり込み、カメラを回し続けている。破天荒だがどこか憎めない夫、それを支える気丈な妻の日常が上手く描かれていて、なかなか良質なノンフィクションだと感じましたね」
そんなこともあり、番組終了後、SNS上には、《本物の夫婦愛を感じた!いい番組だったです》《年下妻の方が、山根さんに深い愛情を注いでる。感心するくらい。こんだけ幸せなんだから、上機嫌でいなくちゃね》など、夫人の献身ぶりに感動したという声が多く寄せられていた。
しかし、やはり一方では批判的なコメントが多く、疑惑の奈良判定を振り返り、《奈良判定のせいで、悔しい思いした人の事、思い出して!》《山根氏の判定で人生を狂わせてしまった選手もいるんだ!そちらの話もきちんと取材して!》《アマチュアボクシング界を大混乱させた“戦犯”を面白おかしくテレビに出すなよ》といったきつい意見も多く見られた。
また、番組では妻の智己さんが山根氏の入浴を介助するシーンも放送。ボカシは入っていたものの、山根氏のイチモツ部分がはっきりと映し出されたことに《日曜の昼間っから男・山根の男部分を見せられた!》といったブーイングの声も…。
前出のノンフィクションライターが言う。
「番組では山根氏がまるでメディアスクラムの被害者のように扱われていたのが気になりました。ただ、ノンフィクションの密着モノは、反論する、あるいは敵対する相手に取材することにより、構成が変わってしまう場合があります。そのため、言い方は悪いが、主人公にとって都合の人物はあえて取材しないというケースが少なくないんです。なので、そうなると、当然、切り口も『夫婦愛』や『親子の情』といったものになります。ただ、残念ながらこれが密着番組の限界。なぜなら最後は本人が許可してくれないと番組として成立しないからです」
とはいえ、同番組で山根氏が見せた意外な一面に驚いた視聴者も少なくないだろう。番組関係者によれば、反響次第では、今後も山根夫妻を取材し第二弾を放送する構想もあるのだとか。さて、視聴者の反応はいかに。
(灯倫太郎)