やはり“親娘ゲンカ”や“クーデター”といった風評によるイメージダウンの影響は大きかったということか。“かぐや姫”こと大塚家具の大塚久美子社長(52)が12月1日付で辞任する。久美子社長といえば2015年、同社の経営権をめぐって創業者で実父の勝久氏(77)と対立。結果は久美子氏の勝利に終わったが、以降は業績が低迷。4期連続の赤字を計上し、ヤマダホールディングスの傘下になるなど、経営者としてはその手腕に疑問符をつけざるを得ない失脚劇となった。
「2015年の委任状争奪戦で敗れた勝久氏は、その後、高級路線を前面に打ち出した『匠大塚』を創業。春日部を皮切りに吉祥寺や青山といった立地に出店するなど、好調ぶりをアピールしています。低価格路線に舵を切って業績悪化に追い込まれた大塚家具とは対照的で、コロナ禍における富裕層の“巣ごもり需要”を追い風に、今後も業績を伸ばしていくと見られています」(経済誌編集者)
やはり「匠大塚」の躍進のきっかけとなったのは勝久氏の経営センスによるところが大きいという。だが、民放キー局のドラマ関係者はこう言って意外な“追い風”の存在を明かす。
「じつは『匠大塚』はいろんなドラマとタイアップしていて、撮影現場に家具を提供しているんです。今クールで言うと、深田恭子さん(37)主演の『ルパンの娘』(フジテレビ系)ですね。泥棒一家の高級感あふれる調度品の数々はほとんどが『匠大塚』のスタッフがコーディネートしていて、美術協力という形でクレジットされています。ドラマで『匠大塚』の存在と美術センスを知った視聴者は意外と多く、かなり大きなPR効果があったと思いますよ」
ロケ現場に家具を提供することで名前を売った「匠大塚」のPR戦略。さすがの“かぐや姫”も思いつかなかったかもしれない。だが一方で、そのあまりの高級さに、ドラマ現場では超厳戒体制“が敷かれていたという。同じくフジで「SUITS」の制作に携わったスタッフの一人はこう話す。
「湾岸スタジオに作られたセットの入り口には『触らないでください』と貼り紙が掲示されるほどの警戒ぶりでした。100万円以上する家具がゴロゴロあるわけですからね。本番中に限っては、ソファに腰かけたりデスクに肘をついたりする程度なら仕方ないとしても、ウン百万円もする本棚などにはみんな気を使っていましたよ。キャストの方々も『傷つけたら弁償もんか…』とかなりビクビクしていた様子。そんななかで、主演の織田裕二さんは飄々としていて、『う〜ん、そう言われると触りたくなっちゃうんだよな〜』と冗談を言って、他の共演者の方々を和ませていました。さすがに稼いでるトップ俳優は違うな、とスタッフ全員が感心しきりでしたよ」
“かぐや姫”と「匠大塚」、そして禁断のジョークで笑いを取った織田裕二。3者の因縁はさておき、これでひとつ、ドラマを観る楽しみが増えそうだ。
(倉田はじめ)