もしも元ヤクザが主夫業に専念したら? そんなキワどいシチュエーションを描いた連続ドラマが話題を集めている。玉木宏(40)主演の「極主夫道」(日本テレビ系)。同名漫画を原作にしたコメディードラマで、玉木はかつて「不死身の龍」として恐れられた伝説のヤクザを演じ、川口春奈(25)扮するキャリアOLの妻に尽くす姿がコメディータッチで描かれている。
「玉木さん演じるコワモテの元ヤクザがMEGUMIさん(39)ら婦人会のメンバーを前に、ストッキングを用いた掃除術などをレクチャーしたりと、家事のノウハウを学べることも好評の要因。また、バーベキューのため、舎弟にレンコンの調達を頼んだところ、それを聞いた警官が勝手にリボルバー拳銃と勘違い。香草を抗争と聞き間違えて大騒動に発展するなど、“ヤクザジョーク”が随所に散りばめられています」(テレビ誌ライター)
ドラマでは主人公・龍が家事全般で達人ぶりを見せつけているが、ヤクザ業界に詳しい作家の影野臣直氏によれば、
「意外と思われるかもしれませんが、こと家事に関しては、一般人よりもヤクザのほうが几帳面でしっかりしていると言えます」
とくに料理にいたっては、作るのも食べるのもハイクラスなこだわりを持っているという。
「大所帯の組織になると、親分を中心にみんなでメシを食べていたものです。料理を作るのは専門的に鍛えられた若い衆。素材へのこだわりも強く、とくにお米の産地にはうるさい親分も多い。大事な接待を想定したうえで、情報収集も怠りません。ミシュランにも掲載されていないような隠れた名店のリサーチを欠かさず、実際、私もお世辞にもキレイとはいえない外観の店で、一生の記憶に残るような絶品のしし鍋を御馳走になったことがあります」(影野氏/以下同)
若い衆が組事務所や親分の本宅で世話を行う“部屋住み”。都内でその習慣は廃れてしまったという見方もあるが、
「いまでも地方に行くと、部屋住みの若い衆に接する機会も多いですよ。そうしたところにお邪魔すると、床にはチリひとつ落ちていませんし、トイレにかけられたタオルもビシッとキレイにそろえられています。ある組織の若い衆は、専門的な技術を要する畳の張り替えもそつなくこなしていました」
また、家事力を身につけるのはシャバに限らない。皮肉なことに塀の中ではさまざまなスキルが身につくというのだが…。
「ヤクザが担当させられることは滅多にありませんが、刑務所で炊事係をこなせば、料理の腕も上達していくでしょうね。また、洗濯工場に配属されれば、アイロンがけもプロ級のスキルが身につくはず。意外なところではミシン。洋裁工場でお勤めをしていた私の知人は、ミシンの扱いを完璧にマスターして、日本一有名な猫のキャラクターの刺繍をいとも簡単に作り上げていました。塀の中は時間厳守。布団の畳み方にしても、そうじにしても、決められた時間の中でいかに効率よくこなすかが重要ですから、2回か3回、ムショに入れば、ある程度の家事は完璧にこなせるようになります。ドラマの話ではありませんが、主夫(ヒモ)として暮らしていくには十分。私の周囲に『うちの女は何もできないからなぁ』とこぼすヤクザが多いのも、家事ができすぎるがゆえの悩みかもしれませんね」
カタギには想像すらつかない“住環境”がヤクザの家事力を高めている!?「極主夫道」の龍のようなヤクザは意外と多いのかもしれない。