少し前にニュースサイトで、芦田愛菜さんやDAIGOさん、玉木宏さんたちの「箸」の使い方がきれいだという記事を読みましたが、読者の皆さんは食事の時にどれだけ意識していますか。
目白大学が行った調査によれば、30~50代は男女ともに約3割の人しか箸を正しく使えていないとか。
と、ここまで読んで、箸の使い方に自信がなくなってきた方たちにすすめたいのが「箸検定」。箸の使い方はもちろん、その多様な種類や作法などを学ぶことができます。
箸検定の運営元である日本箸文化協会の代表を務めるのは、食事マナー関連の著書やテレビ出演も多い小倉朋子さんという方で、この箸検定はかれこれもう10年以上続いています。
それでは例題を見てみましょう。
〈問1〉箸休めをする際、茶碗や皿のふちに箸を置くことはマナー違反とされていますが、この行為の名称は【1】置き箸、【2】そろえ箸、【3】寄せ箸、【4】渡し箸のうち何と言う?
〈問2〉歴史的・日常的に箸を使う食文化がある国は【1】ベトナム、【2】フィリピン、【3】パキスタン、【4】インドネシアのうちどこ?
試験区分はベーシック、アドバンス、エキスパートに分かれており、ベーシックではセミナーを受講後、マークシート式試験と簡単な実技テストが行われます。アドバンス以上は小論文が課されます。例題の答えは〈問1〉が【4】、〈問2〉が【1】となっています。
私は10年以上前にベーシックに合格しましたが、この時に受けた実技テストの内容がとてもユニークだったのを覚えています。
まず箸の基本姿勢をチェックされ、そこから上側の箸だけを動かして開いたり閉じたりして、両箸の先端をぴったり合わせてカチカチ鳴らすことができるかを審査されます。これが意外と簡単ではないんです。
この検定を受けるメリットは、やはり他人に与える印象でしょうか。
私はそこまでチェックするほうではありませんが、就活生・転職者向けのニュースサイト「キャリコネニュース」が実施したアンケートによれば、回答者の約8割が、他人の箸の持ち方が「気になる」と答えていました。
ビジネスシーンでは特に気をつけたいところ。例えば新人の部下を食事に誘った時に上司が変な箸の持ち方をしていると、「ふだん、ビジネスマナーがうんぬんとか言っているくせに、箸ひとつ持てないのか‥‥」とあきれられたり、取引先との接待で「この人は箸の持ち方が雑だから仕事も雑なんだろうな」とマイナスのイメージを植えつけてしまうことも考えられます。
また、飲食店情報サイト「ぐるなび」が行った調査では、年収1000万円以上の「成功者」ほど、箸の持ち方をはじめとした食事マナーのリテラシーが高いという結果になりました。
ひょっとすると、箸の持ち方ひとつに気を配るだけで、収入に好影響を及ぼすかもしれませんね。
鈴木秀明(すずきひであき)/81年生まれ。東京大学理学部、東京大学公共政策大学院を経て資格アドバイザーに。取得資格数は600