巨人版の二刀流が、いよいよベールを脱ぐ。原辰徳監督が左腕リリーバー・戸根千明の打撃センスに目をつけ、「打席に立てるセットアッパー」に変貌させようとしているのは、本サイトでもお伝えした通り。ファン感謝デーのホームラン競争で本職の野手も驚く大飛球を連発させ、「バリー・ボンズみたい!」と観客を沸かせてきた。
「セ・リーグでは投手が打席に立ちます。次イニングの攻撃で投手に打席がまわる際、リリーバーを出し惜しみし、余計な失点を与えてしまうケースも多々ありました。戸根が二刀流になれば、リリーフに出てそのまま打席に立つこともできるので、救援投手を余計に使わずに済みます」(ベテラン記者)
その戸根がファーム戦で結果を出し始めたのだ。13日のDeNA戦から指名打者でスタメン出場するようになり、3試合連続安打を記録している。
「18日の日本ハム戦は、左投手の宮台が先発すると分かっていたのに、阿部慎之助二軍監督は『2番DH』で起用しました。その日はヒットこそ出ませんでしたが、臆することなく、フルスイングをしていました。二軍首脳陣も評価しています」(関係者)
気になるバッティングフォームは豪快の一言。バットを揺らしながら間合いを取り、右足を大きく上げて全体重を浴びせかけるように振り抜く。前述のホームラン競争ではないが、そのスイングは助っ人外国人を彷彿とさせ、「そろそろ、一軍」の声も囁かれている。というのも、このスタメン起用には“布石”があった。10月7日に逆上るが、原監督は戸根を一軍の練習に帯同させている。定期的に成長著しい若手を呼び寄せ、「練習だけでも一軍のリズムを知ってもらう」という育成法はつとに有名だ。すでにリリーバーとして一軍で投げてきた戸根をその貴重な“研修枠”に入れたのは「一軍で使う」という意思表示だろう。
阿部二軍監督が戸根をスタメン起用させたのは、その研修後のことである。
「日本シリーズに間に合えば面白そう。ソフトバンクが進出してくれば、乱打戦になるのは必至。試合中盤に投入できる『代打兼任』のリリーバーができれば、セ・リーグ主催ゲームのポイントセッターになりそう」(前出・関係者)
「代打で出て、そのままマウンドに」なんてシーンも見られるかもしれない。巨人版・二刀流が日本一奪還のキーマンになりそうだ。
(スポーツライター・飯山満)