慰安婦像に“安倍総理”が平伏!? 韓国の「土下座像」を放置してはいけない理由

 第2シーズンが幕を開けて人気沸騰中のドラマ「半沢直樹」(TBS系)。同シリーズで思い起こされるのは、第1シーズンの最終回で宿敵・大和田常務(香川照之)が見せた土下座シーンだ。主役の半沢直樹によって、舞台となった銀行の取締役会で不正を暴かれ、土下座を迫られた彼は、みずからの膝に拳を打ちつけ、悔しさで呻きながら、地に頭をつけた。

 普段生活していて、実際に土下座にいたる事態というのはよっぽどのことであり、他人に土下座を強要しようとする人間に“ロクな奴”がいないことは言うまでもない。過去には小売店の店員に客が土下座を強要して逮捕されたケースもある。

 土下座関連の話でいえば、7月29日放送の「とくダネ!」(フジテレビ系)でこんなニュースが報じられた。韓国北東部の江原道平昌にある「韓国自生植物園」が園内に設置したのは、慰安婦像とその前で土下座している男性の像。この男性が安倍晋三首相に似ていることから、「安倍土下座像」として世間の衆目を集めることとなった。像を建てた同園は「安倍首相ではない」と釈明しているが、菅義偉官房長官は28日の記者会見において、「国際儀礼上許されない」と、強い不快感を示した。

 ここ近年、韓国と日本との間では政治問題が過熱しており、慰安婦問題はその最たる例だ。慰安婦問題とは、第2次世界大戦中に韓国人の一般女性が、慰安婦として日本の官憲や軍隊によって強制連行されたと、韓国側が主張している問題。しかし、当時の慰安婦は合法的な「公娼」であり、さらに慰安婦を斡旋していたのは、日本の官憲や軍隊ではなく、民間業者だったという主張もある。そのため、韓国人女性が強制的に性産業に従事させられていた事実があったのか、仮にあったとして日本政府に国家責任があるのかなど、議論が分かれている。

 そんな中で起こった今回の土下座像騒動。ネット上では《一国の総理にこんな事したら普通なら戦争になってもおかしくない》《この銅像の製作者は安倍首相がモデルとは言っていないからセーフ》など、賛否両論あるようだ。

 思い起こせば韓国では、これまでたびたび日本に対して謝罪を求めるムーブメントが起こってきた。2012年に李明博大統領(当時)、19年には韓国国会の文喜相議長が、日本側に対して土下座を求める発言を行ったことも記憶に新しい。

 歴史的には日本でも平伏して礼(お辞儀)を示す際に行われてきた風習だが、何故こうも韓国の人々は土下座にこだわるのだろうか。

「まず大前提として、韓国では日本ほど謝罪を行うという文化がありません。なぜなら、一度でも自分の非を認めてしまうと、自分は“悪“で相手は”善“という関係がずっと続いてしまい、その後の挽回は難しいと考えられているからです。韓国人にとってチェミョン(メンツ)は命ですからね。また、儒教文化が色濃く残る韓国では、かつて土下座は罪人が謝罪するときに行われる刑罰の一つでした。つまり、韓国が日本に対して土下座を要求する背景には、『お前達は悪なのだから、一生我々に服従しろ』という意味がこめられているのでしょう」(韓国文化・歴史研究家)

 日本の外交史では、宮澤喜一氏や小渕恵三氏など、歴代の首相たちが度々韓国への謝罪の弁を口にしてきた。しかし、そのことが結果的に、韓国の日本に対する“勧善懲悪”の姿勢や“謝罪要求癖”に拍車をかけてしまったのだという。

「第2次世界大戦後に起きたベトナム戦争では、韓国軍が現地の女性たちに対して重大な戦争犯罪行為をはたらいたことで知られ、それによって、韓国兵士と現地女性との間には『ライダイハン』と呼ばれる子どもが生まれました。ところが、いまだに韓国政府はその事実を認めていません。にもかかわらず、日本の慰安婦問題についてはしきりに謝罪を要求しているのです。韓国はすでに“日本は悪”という価値観に縛られているため、このように矛盾したダブルスタンダードも、日本に対しては気兼ねなく言えるということなのでしょう」(韓国文化・歴史研究家)

 もっとも、戦争犯罪はいかなる理由があろうとも看過できないことは論を俟たない。一方で、日本と韓国では「土下座観」に決定的な違いがあることも知っておくべきなのだ。

(橋爪けいすけ)

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