謝罪会見で時折見られる土下座。先日の知床観光船の遭難事故でも運営会社の社長が会見の際、最初に土下座謝罪を行ったが「誠意が感じられない」と全国から批判が殺到。
そんな中、かつて週刊漫画ゴラクで連載されていた「謝男(シャーマン)」という土下座を扱った漫画がネット検索ランキングで急上昇。人気格闘技漫画「刃牙」シリーズなどで知られる漫画家、板垣恵介氏による作品だ。
11年12月、「謝男」の連載開始にあたって夕刊フジに板垣氏のインタビュー記事が掲載。当時世間を揺るがした集団食中毒事件が起きた焼き肉チェーンの社長の土下座謝罪について、「人が亡くなっているわけだし、土下座では収まらない」と指摘している。
「もちろん謝罪は必要ですが、土下座すればOKというのは大きな間違い。その点でも板垣氏の発言は、謝罪としての土下座の本質を見抜いているといえます」(マナー講師)
そもそも土下座は礼式のひとつで、“座礼”とも呼ばれる。単に謝罪としてだけでなく、挨拶や祈願、尊敬、感謝など場面に応じてさまざまな意味を持つ。礼節としての最上級の形ゆえに記事では「本人の器量が追いついてない場合も多い」(板垣氏)とも述べている。
ちなみに今回の土下座謝罪の映像を確認すると、足のつま先が立ったまま。きちんとした正座の姿勢が取られていなかった。
「過去の謝罪会見でも似たような土下座を何度も見かけましたが、すぐに立ち上がりたいと思っているのが透けて見えます。土下座をするにしても本来は靴を脱ぎ、足の甲まできちんと床につけるべきで、あのような形では謝罪としては論外。それに今の土下座は屈辱的行為との意味合いが強くなってしまい、仮に心からの謝罪であっても相手に気持ちが伝わりにくくなっているんです」(同)
確かに、ドラマ「半沢直樹」の土下座シーンも謝罪というよりプライドをへし折る行為として描かれている。謝罪が必要な場面でも安易な土下座は避けたほうがいいのかもしれない。