災害時の強い味方「サトウのごはん」賞味期限6カ月延長までの米飯改良32年史

 突如としてスマホから発せられた、けたたましいブザー音に驚かされた人は多いのではないだろうか。7月30日9時36分頃、気象庁は首都圏、東海、東北の一部地域に緊急地震速報を発令。「千葉南方沖で地震 強い揺れに警戒を」と呼びかけた。結局、その後、強い揺れは観測されなかったが、改めて防災意識を高める契機となったはずだ。そんな中、ある“備蓄食料”が話題を集めている。

 佐藤食品工業は無菌化包装米飯「サトウのごはん」の賞味期限を8月1日製造分より従来の10カ月から1年に延長すると発表。ネット上ではこの企業努力に対して絶賛の声があがっている。

「無菌化包装米飯の賞味期限は8カ月から10カ月が一般的ですが、同社によれば『炊飯時の加熱時間・温度に関する研究により米飯の水分保持力を高め、より安定的に風味、食感が保たれることが保存試験で実証されたため』とし、賞味期限の延長を決めたといいます。なお、対象となるのは白米製品で、一部の商品は対象外となるとのことです」(社会部記者)

 佐藤食品工業は1988年からサトウのごはんの製造をスタートさせたが、発売当初の賞味期限は6カ月だった。その後、05年から8カ月に、2013年からは10カ月に延長され、ついには販売当初の2倍となる1年に到達したのである。

「『玄関開けたら、2分でごはん』のキャッチフレーズでお馴染みのサトウのごはんは一人暮らしの強い味方ですが、防災用の非常食としてストックしている方も多いのではないでしょうか。そうした備蓄食品として2カ月賞味期限が伸びるというのは本当に助かりますよね。また今回、賞味期限が1年となったことから期限表示を年月日から年月へ変更したそうで、日付表示がなくなったことで食品ロスの削減も期待されています」(食品ジャーナリスト)

 ちなみに、佐藤食品工業は8月1日より社名を「サトウ食品株式会社」に変更するといい、同商品にかける並々ならぬ意気込みが窺える。巨大地震などまっぴらごめんだが、もしもの時の備えとして、今後はさらに「サトウのごはん」の需要が伸びるかもしれない。

(小林洋三)

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