「7割を目指して」西村大臣の“テレワーク要請”が管理職に響かない理由

 新型コロナウイルスの感染が再び拡大していることを受け、西村康稔経済再生担当大臣は7月26日の会見で、経済界にテレワーク導入率70%を目指すように要請する考えを明らかにしたが、目標値への到達は難しいとの声は多いようだ。

 緊急事態宣言を受けてテレワークは急拡大したが、「東京商工リサーチ」が7月14日に発表した調査結果によれば、「新型コロナ以降テレワークを実施していたが、すでに取りやめた」と回答した企業が26.7%にのぼり、企業の4分の1以上が導入したものの、その後は原則出社に戻っているパターンが多いことが浮き彫りとなっている。

 同調査は全国1万4356社からの有効回答を得たもので、「テレワークを一度も実施していない」と回答した企業は最も多い42.2%。「現在も実施している」と回答した企業は31%だった。

 ではなぜ、多くの企業がテレワークをやめてしまったのだろうか。

「そもそも業務内容がテレワークに向かなかったり、環境が整わなかったりという点もありますが、『Dropbox Japan』が実施したテレワークに関する意識・実態調査によれば、経営者から部長クラスの48.9%が『メリットを感じていない』ことが明らかとなったのです。また、40代と60代の回答者の約4割がテレワークによって紙の書類の確認に課題を感じていたといい、管理職がリモートに積極的ではなかったことがテレワーク離れの大きな原因の一つと見られています」(経済ジャーナリスト)

 日本でテレワークが普及するのはまだまだ先になりそうだ。

(小林洋三)

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