「ペッパーランチ」売却で「いきなり!ステーキ」が復活する3つの根拠

「いきなり!ステーキ」を運営するペッパーフードサービスは7月2日、ステーキの本場アメリカから完全撤退することを発表。また、翌日にはグループ店である「ペッパーランチ」の株式を投資ファンドに売却し、「いきなり!」「ペッパーランチ」の国内114店舗の閉店と200人の希望退職者を募集することもあわせて発表した。

「『いきなり!』は2017年にニューヨークで1号店をオープンさせ、翌18年には日本の外食チェーンとしては初の米ナスダック上場を果たすなど大きな話題となりましたが、客足が伸びず苦戦を強いられ、昨年にはアメリカの全11店舗中7店舗を閉店。残り4店舗の半分を『ペッパーランチ』に業態転換して生き残りを図りましたが、新型コロナウイルスの影響もあって完全撤退を決めたといいます」(社会部記者)

 国内でも厳しい状況は続いており、「ペッパーランチ」の売却や店舗の閉店、希望退職者の募集といった経営体制の変革が進んでいる。ただ、「ペッパーランチ」は客離れが進む「いきなり!」に対して利益率は2倍と安定した収入を生んでいるとのレポートもあり、東南アジアを中心に約300店舗を展開するなど海外人気もあるが、「いきなり!」立て直しのために売却せざるを得なかったとみられる。

「7月に入ってからの一連の流れを見て、ネット上でも“ペッパーフードサービスは大丈夫なのか?”などと心配の声が出るなど、まるで全国展開からの撤退に向けてどんどん縮小しているようにも感じてしまいますが、ペッパーフードサービスの一瀬邦夫社長はまだ諦めていないと思います。『ペッパーランチ』を売却したことで85億円の売却益を得ていますし、不採算店の削減によって赤字の大きな原因だった自社競合もだいぶ改善されるのではないでしょうか。余剰人員を整理することで、かえって接客サービスの質が向上するケースはこれまで何度も見てきました。傍目には『背水の陣』に映るかもしれませんが、新たな人気メニューやヒット企画が出れば再浮上も十分にあると思います」(経営コンサルタント)

 多額の売却益、自社競合の改善、そして接客サービスの向上。この3つの柱を武器に、復活への狼煙を上げることはできるか。

(小林洋三)

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