一時は全国で130店舗を展開しながら、今や千葉と大阪の2店舗だけとなってしまった焼き牛丼チェーンの「東京チカラメシ」。国内では厳しい戦いを強いられているが、実は香港では大ブレイク中だ。
昨年6月、九龍有数の繁華街・旺角地区に現地1号店が誕生すると、それから半年の間に2号店、3号店が相次いてオープン。すでに店舗数は国内を上回り、
「ランチや夕食の時間帯は行列ができるほど混む」(常連客の日本人駐在員)
実は、この東京チカラメシのように、海外で大成功している日本の外食チェーンは珍しくない。例えば、熊本市に本店を置く「味千ラーメン」は、国内65店舗で首都圏には1軒もないが世界の15カ国と地域でなんと732店舗(22年8月時点)も展開している。
「海外店舗の9割以上は中国ですが、モンゴルやカンボジア、パナマといった国々にも進出しています」(飲食業界誌編集者)
また、北陸3県では有名ながら首都圏・関西圏には未進出の「8番らーめん」は、国内132店舗に対して海外154店舗。さらに「いきなり!ステーキ」の業績悪化などにより20年に事業部門ごと売却された「ペッパーランチ」も、海外319店舗と国内(164店舗)のほぼ倍で、現在も出店ラッシュが続いている。
「日本の外食チェーンは調理のオペレーションが単純化され、プロの料理人でなくても美味しいメニューを提供できます。そうした利点があるため、フランチャイズ契約を希望する現地企業が多いんです」(前出・飲食業界誌編集者)
東京チカラメシを運営する三光マーケティングフーズは、ホームページで中国やシンガポールなどアジア圏でのライセンスパートナーを募集中だ。他の外食チェーン同様、そう遠くないうちにアジアを席巻する日が来るかもしれない。