なぜ日本で外国人捕手が活躍できない? 中日・マルティネス支配下登録の真意

 外国人捕手がマスクをかぶって、日本人投手をリードする。そんな試合が与田ドラゴンズで見られるかもしれない。

 育成選手だったアリエル・マルティネスが支配下登録されたのは7月1日。登録ポジションは捕手。中日の外国人捕手といえば、2000年、ディンゴの登録名でドラゴンズのユニフォームを着たデーブ・ニルソンが思い出される。しかし、ニルソンが実際にマスクをかぶったのは1試合だけ。その他の試合ではレフトを守っていた。

「日本の捕手は配球のこと、それもベンチ入りする野手のデータを頭に入れ、スコアラーと対応策を練ってから試合に臨んでいます。味方投手たちの好不調も把握しなければなりません。実際にバッターと対戦してみたら、試合前のデータと異なっていたなんてこともあり、日本の捕手はとにかく大変です」(ベテラン記者)

 元ロッテのマイク・ディアズも捕手で試合に出たことがある。外国人捕手が定着しないのは「司令塔」「キャッチャーが試合を作る」という日本の野球スタイルのせいだろう。

「マルティネスは今季、打撃が絶好調です。怪我のため、キャンプでは出遅れたんですが、打撃力が買われての支配下登録です。昨季まで二軍戦では指名打者か、一塁を守っていました」(名古屋在住記者)

 しかし、マルティネスは捕手で勝負することになりそうだ。こんな情報も聞かれた。

「6月14日でした。二軍が実戦形式のシート打撃を行い、捕手を務めたのがマルティネスでした。左腕の笠原祥太郎を巧みにリードしていました」(チーム関係者)

 この巧みなリードが今回の支配下登録につながったという。もっとも、祖国・キューバでの国内リーグでは強肩捕手として知られていたが、17−18年オフの獲得時、中日は捕手をやらせるつもりで交渉にあたっていた。

「17年、中日は松井雅人(現オリックス)、武山真吾(現バッテリーコーチ)、杉山翔大、木下拓哉など5人の捕手を使うなど、正捕手不在の状況でした。業を煮やした森繁和監督(当時)が『外国人捕手の獲得』を渉外担当スタッフに話し、マルティネスの獲得を決めました」(前出・チーム関係者)

 バリバリのメジャーリーガーではなく、当時20歳そこそこのマルティネスを選んだところに、「日本で育てる」という意図もあったようだ。

「イケメンなので来日1年目から人気がありました。二軍戦に駆けつけるコアな女性ファンの間では、やはりイケメンで通っていた浅尾拓也(現投手コーチ)にも似ていると評判でした」(前出・名古屋在住記者)

 外国人捕手が定着したら、日本の捕手論も変わるかもしれない。イケメンなので、マスクをかぶらせないほうが営業面で好結果をもたらしそうだが…。

(スポーツライター・飯山満)

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