いよいよ6月19日、東京都は「営業自粛要請」を全面解除するようだ。
「段階的に営業自粛を解除していったなかで、最後に残ったのがキャバレーなど接待を伴う飲食店やライブハウス、ダンスや音楽を楽しむナイトクラブの3業種でした。いわば『夜の街』を象徴するような場所ですね」(夕刊紙記者)
全面解除となれば、再び「夜の街」にも活気が戻ると思いきや、ここにきて暗雲が立ち込めている。
「東京都では、14日に47人の新たな感染が発覚。そのうち18人は新宿区で同じホストクラブに働く従業員でした。さらに翌15日は、新規感染者の48人中23人は『夜の街』の関係者であることが判明。こうした報道もあって、世間はまだ『夜の街』に対して警戒心を抱いており、いまだ厳しい見方をしていますね」(前出・夕刊紙記者)
男たちの盛り場である艶系クラブや性産業も同様で、コロナ感染が怖くて、思い切り“発散”させたいと思っていても、抵抗があるという人は多いのではないだろうか。だが、その一方でいま急増しているのが「マスク客」だ。
東京都内の店舗型の泡系産業に勤めるAさん(29歳)はこう言う。
「ついに私のところにも来ましたよ。中高年のお客さんで『マスクはつけたままで、キスもしなくていい。口淫奉仕もゴム装着のうえでお願いしたい』って(笑) 同業の女の子たちの間で、マスク着用のお客さんが最近増えているとは聞いていたけど、まさか本当に来るとは……」
むろん、Aさんにすれば、こうしたガードの固い客は敬遠するどころかむしろ上客だというのだ。
「キスもしなくていいし、口でのご奉仕もゴム付き。正直、こういった接客スタイルが今後もスタンダードになれば、かなり楽ですよ。ただ、プレイ中にちょっと心配にもなります。お遊びの流れでは、一緒にお風呂に入ったりするので、ただでさえ蒸し暑い。マスクをしたまま、顔を真っ赤にしているお客さんを見ていると、熱中症で倒れてしまうんじゃないかって心配しちゃう」
くだんのマスク客は「コロナは怖いんだけど、アッチが我慢できないみたいでね〜」とヘラヘラと笑っていたそうだが、ソープで熱中症&救急搬送というのも、洒落にならない。夜の情報誌のライターはこう言う。
「緊急事態宣言が解除された直後は、夜の街も一時的に活気を取り戻したんです。もともと人気があった性産業の店にも予約が殺到して、キャストたちも大わらわだったと言っていました。ところが、再び歌舞伎町のホストクラブなどで集団感染が報じられると、またしても客足はぱったり途絶えたんです。ワイドショーなどの報道によって、夜の街といえば歌舞伎町というイメージが定着してしまったこともあって、歌舞伎町の艶系クラブや性産業は、今後も厳しい戦いを強いられるかもしれません。また、こうした性産業の衰退によって、レンタルルームやカップルズホテル、また、待機場所として利用されてきたネットカフェなどにも大きな影響を及ぼすでしょう。一方、コロナ感染を恐れてか、都心の歌舞伎町や渋谷などを避けて、わざわざ埼玉や神奈川、千葉の歓楽街に出向く男性客も多いと聞きます。自粛要請が全面解除されても、このドーナツ化現象はますます顕著になっていくのではないでしょうか」
たとえ県境をまたいで地方へ赴き、マスク着用で“濃厚接触”にいそしんだとしても感染のリスクはゼロではない。「夜の街」に限らず、引き続き感染拡大防止に努めたいところだ。
(降矢公平)