かねてから台風の接近が報じられ、関東地方は朝からあいにくの雨模様となった10月10日、TwitterなどのSNSに「歌舞伎町に長蛇の列できてる」「男たちが大勢集まっているのは何が理由なんだ?」などの投稿が相次いだ。行列のお目当てはその日にオープンを迎えた“大人のテーマパーク”、「S LAND」(※略称、以下同)。艶系エンターテインメントの総合メーカーが“艶女優と飲める”をコンセプトに、全5フロアからなる巨大ガールズバーを新宿歌舞伎町にオープンさせたのだ。
評判が評判を呼び客が殺到し、整理券を配布したものの、最大で「入場までに4時間待った」という報告も聞かれる。フロアごとにさまざまなコンセプトが用意されており、現役ピンク嬢や有名艶女優、デビュー前の新人女優たちを身近に感じながら、お酒とトークが楽しめるという。
歌舞伎町を筆頭に「夜の街」での新型コロナウイルスの感染拡大が懸念され続ける中、この“大人のテーマパーク”のオープンに際し、ネット上では《コロナ蔓延しそう》《すごい人気だし三密回避できるのか?》といった疑問の声があがっているが、現場はどういった対策を講じているのだろうか。
運営会社は《コロナ対策万全、200万%の飲食店》とコロナ対策への自信が伺える文言をホームページに掲載しており、その対策の内容からも徹底ぶりがわかる。
基本的な手指消毒、飛沫防止パネル、マスク着用などはもちろんとして、入り口では全身にウイルス・抗菌剤を噴霧することができる「消毒液自動噴霧装置」という食品関連施設などに用いられる本格的な感染防御システムや、「AI温度検知システム」を設置。フロア内には、人がいる空間でも安全に使用できる「紫外線殺菌照射装置」、エアコンには集塵した有害な細菌を抑制してキレイな空気を循環させる「ラーフエイドフィルター」を装着させており、安心・安全に遊べる空間をアピールしている。
《200万%安心》というコロナ対策を打ち出した「S LAND」は、歌舞伎町だけでなく全国の繁華街の模範となる可能性を秘めている。夜の街の“接客を伴う飲食店”でのクラスター回避策とともに、「徹底した対策を取れば安全」との認識が広まれば、ウイルス感染の懸念から客足が遠のいている接客クラブの救済となるのではないか。
その一方で、「S LAND」の徹底した感染対策へのこだわりは、“目玉コンテンツ”の開催延期にも見て取れる。水着姿のバーテンダーがカクテルを作る姿を床下のアングルから“マジック鏡”越しに堪能できる「床下VIP席」だ。この“アトラクション”がスタートすれば、さらなる集客アップが見込めそうだが、やはり床下に客席を設置するという構造上、いまだ感染予防が万全ではないとして実施が見送られているのだ。
換気が十分に行われにくいことからコロナ対策は難航するかと思われるが、艶系ファンをアッと言わせる対策術を考案してくれるに違いない。
(浜野ふみ)
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