待ちに待ったプロ野球が開幕した。新型コロナによる変則シーズンを目前に、各球団でバチバチと音を立てる導火線を発見。優勝のカギを握る12球団の「爆弾男」をあぶり出す。
新型コロナの影響で約3カ月遅れの6月19日、ついに開幕を迎えたプロ野球。解説者の江本孟紀氏は、「開幕ダッシュを切れるかどうかが、勝負の分かれ目になる」と前置きして、今シーズンの展望を語る。
「120試合と試合数こそ確保されていますが、開幕が遅れた反動で、勢いに乗ったチームがそのまま独走するケースが想定されます。セ・パともに6連戦(パは同一カード)の日程がフルに組まれるようなので、先発ローテーションがしっかりと確立しているチームが、他の追随を許さない展開になるでしょう」
昨年、リーグ優勝を飾った巨人だが、最多勝(15勝)に輝いた山口俊(32)がメジャー移籍。その穴埋めとして、3億4000万円の大枚をはたいて韓国リーグで昨季17勝を挙げたエンジェル・サンチェス(30)を獲得した。
球界関係者が解説する。
「ドミニカ共和国出身の右腕で、MAX158キロのストレートと、落差の大きいチェンジアップで三振の山を築けるのがウリ。ただ、山口の後釜としては、少々荷が重いかもしれません」
というのも、オープン戦では3試合に登板し、7回3分の2を投げて防御率10.57。6月6日、ヤクルトとの練習試合でも4回と3分の2を投げて4失点と乱調ぶりをみせているのだ。
「球種がバレバレなのか、150キロを超えるストレートをフルスイングされている。年俸3億円超とはいえ、メジャー球団との争奪戦の末に獲得したから、実力以上に金額がつり上がってしまったんだ。それでも最低2桁は勝ってくれないと。もしこの程度なら、3億円をドブに捨てることになる」(球界関係者)
エースの菅野智之(30)に次ぐ先発の2番手として期待されているが、状態が上がってこなければ、原辰徳監督(61)は頭を抱えることになりそうだ。野球評論家のデーブ大久保氏もこう指摘する。
「今の調子が続くと2番手の立ち位置から退くことになり、3番手以降のピッチャーを繰り上げる必要が出てきます。そうなると、5番手、6番手の投手がワンランク格上の相手と投げ合うことになり、どうしても勝率は下がってしまいます。サンチェスが2番手をキープできるかどうかが、今年の巨人の命運を握っていると言えるでしょう」
先発投手への不安は、昨年リーグ2連覇を達成した西武からも聞こえてくる。
「スタミナとコントロールが物足りず、5回を投げ切れないピッチャーばかり。開幕2軍スタートが決まっている松坂大輔(39)が先発の3~4番手候補に挙がるほど層が薄く、選手間の競争心も足りないように感じます」(江本氏)
先発候補として外国人左腕のショーン・ノリン(30)を獲得したが、6月の練習試合では一度も登板しておらず(6月12日時点)、ローテーション入りは微妙。となると昨シーズン同様、5点取られたら6点取り返す「山賊打線」頼みとなりそうだが……。
「投手と野手の間で不協和音が生じています。大した補強もなく、若手主体のローテーションが組まれるのも、数年先の投手王国を目指す渡辺久信GM(54)の方針。ただ、昨年もそうですが、あまりにもヘッポコな投手陣に足を引っ張られて星を落とす試合が多かったので、野手は不満タラタラ。『ホークスの2軍投手のほうがマシだ』と、ロッカールームで爆弾発言を口にする中堅野手もいました」(パ・リーグ関係者)
連覇のカギはセ・パともに先発投手が握っているようだが、コマ不足という点では、ヤクルトや広島、DeNAも厳しいところだ。