「あのさあ、球団の人も悪いと思うんだけど、あれ『踊れ踊れ』って俺、パワハラだって言われんだけど!すっげえ、あの(映像の)作り悪くない?」
巨人の元木大介ヘッドコーチが冗談まじりに苦言をていしたのは、入団3年目の若手・湯浅大内野手。5月25日に行われた球団公式インスタライブに元木コーチが出演。SNSを通じてファンと交流していたところ、たまたま近くを通りかかった湯浅を呼び寄せ、即興漫才のようなやりとりが繰り広げられたのだった。スポーツ紙記者が解説する。
「元木コーチが言っていたのは5月上旬に公式YouTubeにアップされた『元木ヘッドコーチ珍指令!踊れ!!』という動画。グラウンドでノックを受ける湯浅に向かって、元木ヘッドが何度も『踊れ! そこで』『いけ』とダンス指令を出すたびに湯浅が珍妙なダンスを披露するという内容で、コメント欄には《こんなムチャブリが許されるのは元木ヘッドくらい》《湯浅言い返してやれ!『ラーメン茹でろ!』って(笑)》《公式チャンネルとは思えない面白さです》などと、元木のファンサービスを絶賛する声が寄せられていました」
湯浅内野手は群馬県の健大高崎高校を卒業後、守備力と俊足を買われてドラフト8位で巨人に入団。腰の故障もあって、これまで一軍出場の機会はないが、元木コーチとのやりとりは今やファンにすっかりおなじみだ。
先ほどのインスタライブでは、元木コーチの印象について尋ねられた湯浅は「隠し球っす。隠し球で一回バレて普通に返して…みたいなのあったじゃないですか」と返答。これには元木コーチもすぐさま否定して、「タッチしたらアウトだったんだけどピッチャーがプレートまたいでたんだよ。ボークだよ」と、1999年4月に桑田真澄が阪神戦でボークを取られた歴史的珍プレーに触れる一幕もあった。それにしても気になるのは湯浅と元木コーチの親密な関係だ。すでに「開幕一軍」が内定しているかのように映るが…。球団関係者はこう話す。
「今年は無観客での開幕が決定しましたが、いったい試合中のドームがどんな空気になるのか誰にも想像がつきません。そんななかでムードメーカーの存在は大きい。そこで注目されるのが、新加入のヘラルド・パーラ外野手。昨季ナショナルズでワールドシリーズを制した際、『ベイビー・シャーク』に合わせて両手を上下にパクパクさせる“サメダンス”が全米で話題になりました。昨シーズンは丸佳浩の“丸ポーズ”がチームの勢いを象徴していましたが、このサメダンスが注目を集めそう。元木コーチが『踊れ!』と湯浅に指令を出していたのは、ホームランを打ったパーラをサメダンスで祝福する“お出迎え要員”としての才能を買っていたからではないか、との憶測も広まっています。観客の声援もなく、シーンと静まり返ったベンチ前で踊るのは、それなりに度胸も必要ですからね。誰にでもできることではありません」
湯浅の定位置は坂本勇人と同じ遊撃手だが、3月のオープン戦では外野手として起用されている。一部スポーツ紙によると、若手選手に「試合に出たいならポジションはどこでもこなさないと」とユーティリティーの重要性を説いていたという。すでに「名参謀」の風格すら漂わせる元木コーチの「踊れ指令」はただのオチャラケではなかったようだ。
(渡辺俊哉)