コロナウイルスの影響でマスクの着用率が急激な高まりを見せている日本、そのマスクの”宣伝効果”に行政は目をつけた。厚生労働省と警察庁は共同で「知って、肝炎プロジェクト」と「ストップ・オレオレ詐欺47〜家族の絆作戦〜」の啓発活動として両プロジェクトの広報啓発用ステッカーが貼り付けられたマスク50万枚を配布することを5月21日に発表した。ネット上では「面白い試みだ」との声があがっている。他にも飲食チェーンの「ドムドムハンバーガー」が5月25日に発売(初回販売分は完売)した自社のロゴ入りマスクがネット上でバズるなどマスクの広告効果が注目され始めている。広告は、いかにして消費者の目を引くかが重要。そのためにはテレビCMや雑誌、ネットに限らず、時代に合わせてインパクトのある広告媒体が登場している。
2011年に放映されたテレビアニメ「TIGER & BUNNY」も斬新な広告を取り入れて話題を呼んだ。劇中で主人公のヒーロー達がヒーロースーツを身にまとって戦うのだが、スーツにはソフトバンクやカルビーなどの実在するスポンサー企業のロゴがペイントされていたのだ。牛角のロゴが肩に入ったヒーローは視聴者の間で「牛角さん」との愛称で呼ばれ、ファンが牛角でオフ会を行うなどその効果は大きなものであった。
YouTuberもスポンサー集めに工夫を凝らしている。「普通のOLが作る簡単料理動画」を投稿する YouTuberのくまクッキングさんは顔を映さずに首から下のみを映して料理動画を投稿している。彼女の動画の最大の特徴はピタッとしたシャツを着ることにより強調されたバストだ。視聴者はついつい胸に目が行ってしまう。それを利用した彼女はTシャツの胸部分に広告枠を設けてスポンサーを募集したのだ。このアイデアはすぐに反響を呼び、複数のスポンサーがついた。
最近よく街で見かけるウーバーイーツの配達員たちも“広告媒体”となる可能性を秘めている。
「皆さんの中にはウーバーイーツの配達員といえばあのロゴの入った大きなリュックというイメージがあると思うんですけど、実はあのロゴはワッペンになっていて取り外すことができるんです。 外すことは規約上も問題はないので、そこに自分で広告を募集しようと考えています」(ウーバーイーツ配達員)
広告がつけば彼らは料理を運ぶついでにもうひと稼ぎできる。ウーバーイーツの配達員が背負う飲食店の広告を目にした人が、その場でデリバリーの注文を入れる。そんな光景が当たり前になるかもしれない。
新聞の発行部数が減りテレビ離れが叫ばれる今、今までと違った広告媒体が求められている。視点を変えて周りを見てみればビジネスチャンスは思わぬところに潜んでいるかもしれない。
(浜野ふみ)