これも、大器の片鱗か? 中日のドラフト1位ルーキー・石川昂弥内野手(18)がいきなりの打撃フォームの改造に取り組んだ。新フォームを披露したのはナゴヤ球場での自主トレ(5月14日)。試行錯誤を重ね、これまでのスクエアから「オープンスタンス」に変更することを決めたという。
「打撃フォームの改造は悪いことではありません。しかし、新人選手が公式戦出場はおろか、まだ一打席も立っていないのに変更とは思い切ったことをしたものです」(名古屋在住記者)
オープンスタンスに変更した理由は内角攻めに対応できるようにするためだという。
大型新人、将来のスラッガー候補が打撃フォームを改造した話は過去にもあった。しかし、それは「プロの壁」にぶちあたるなど実戦を経験してからのこと。公式戦の打席にも立っていない新人にしては、ずいぶん思い切った決断である。
「誰かのアドバイスではなく、素振りやフリー打撃練習をしているなかでインパクトからフォローまでボールに力を伝えるにはどうすればいいのかと考え、構えたときの足の位置、グリップの高さなどを色々とテストしてきた、と」(前出・名古屋在住記者)
そんな石川の試行錯誤を容認したのも、首脳陣の方針だという。プロ入り後、もっとも心配されたのが守備力だった。だが、実際に内野ノックに入ってみると、ぎこちない動きもあったが、二塁守備で小回りの利いた俊敏なスナップスローを見せるなど、新たな可能性も感じさせていた。以後、首脳陣は「自由にやらせていこう」の方針を共有してきた。石川がみずから打撃フォームの改良に乗り出したことは与田剛監督も報告は受けていたという。
「強いボールを打つため、そして内角にきた球に対して鋭く振り抜くため、オープンスタンスに辿り着いたようです」(球界関係者)
「これから必要になるもの」を公式戦ではなく、練習で気づいたのは石川の野球センスだろう。ペナントレースの開催が遅延したことで生まれた“準備期間”を黄金ルーキーは有意義に使えたようである。
(スポーツライター・飯山満)