「大卒と違って、高卒ドラ1は全然違う重みがある。僕にも分からない。高卒と大卒では、積んできた社会的な見識や経験が違うから」
沖縄秋季キャンプで中日・与田剛監督が来季のキーマンに9年目の高橋周平の名前を挙げた。高橋は2011年のドラフト1位(東海大甲府)。昨年の根尾昂(大阪桐蔭)、そしてドライチルーキー石川昂弥(東邦)と“高卒ドラ1”の新トリオを結成させるという。
与田監督は、ドラフト勝者でもある。就任してすぐに引き当てたのが、同年の目玉選手である根尾で、今季もU-18大会で4番を務めた石川を引き当てた。しかし、「開幕スタメンも」と称された根尾はその期待を裏切り、石川についても「二軍スタート」というのが大方の見方。だが、彼らを一日も早く一軍に定着させなければ、強いドラゴンズの復活はないというのが与田監督の考えだ。
「高卒のドラフト1位選手だけに向けられるプロの洗礼もあるようです。下位指名選手、大学、社会人を経てプロ入りした先輩たちからの嫉妬ですよ。どの球団も1位指名選手を優先して試合で使っていく傾向がありますが、大卒、社会人は即戦力と解釈されるので、活躍して当たり前。高卒は失敗しても、まだ成長過程と応援されますからね。ただ本人にとってみれば、大卒・社会人を押しのけて高卒でドラ1になったプレッシャーは重い」(ベテラン記者)
トリオ結成の目的は、高橋が乗り越えてきたものを根尾、石川に伝えるためだ。与田監督の愛情である。重圧に負け、遠回りをした選手も少なくない。いっそ、06年の高卒ドラ1・堂上直倫の話も聞かせてやったほうが、リアリティがあって良さそうだが…。
(スポーツライター・飯山満)