通勤ラッシュ解消!? ツイッター社「永久在宅勤務」で高まる「オフィス不要論」

 コロナ禍は人間社会、とりわけ経済に大きな打撃を与えたが、強烈な「ショック療法」で大きな社会変革ももたらすかもしれない。その一つが「オフィス不要論」だ。

 少し前に米ツイッター社がコロナ後の会社のあり方について方針を発表、コロナ後でも期限を求めず永久に在宅勤務を認めるとして大きな話題となった。これに続いて日本でもドワンゴが全社員1000人を原則、在宅勤務にすると打ち出した。コロナの対応に追われて在宅を行った結果、実は現代の働き方にかなったものであったということが判明。ならば「オフィスなど要らない」。考える企業が増えてきているのだ。

「既にコロナ騒動が本格化していく2月16日の段階で、GMOインターネットグループの熊谷正寿社長はツイッターで『そもそもオフィスが必要なのか真剣に考えている』とつぶやいています。同社が在宅ワークに切り替えて3週間、その間、業績に変化がなかったというのです。同社の場合、本社オフィスは渋谷のセルリアンタワーに入っているので賃料は相当な額になるはずです。東証1部に上場しているような大企業は、たいてい都心の一等地にオフィスを構えるものですが、果たして今の社会で意味があるのか。賃料だけでなく維持費も考えると、膨大なコストが何ら疑いを持つことなくかけられているわけですからね」(経済ジャーナリスト)

 もっとも、ツイッター社やドワンゴのようなIT系企業は在宅勤務と親和性が高く、移行は容易だろう。だが、旧来の産業であっても部分的に出社が不要な部門は多いだろう。例えば25万人もの行員が働く米銀のJPモルガンでも、一部の行員は「恒久的に交代で在宅勤務を続ける可能性がある」とした。

 となると、他社としても働き方の見直しに着手する必要が生じる。他社が在宅勤務を導入して経営コスト削減で成果を出せば、それを見送ることはそれだけで経営資源の有効活用で後れを取ることになるからだ。

「地方創生を掲げる安倍政権では、2015年度から東京23区から本社を移転したり、地方拠点を拡充した企業の法人税を軽減する制度をスタートしています。そして実際、YKKの子会社が総務部門を富山県に、アパレルメーカーのキャンが財務、経理を岡山県に移転するといった動きもありましたが、その後は足踏み状態が続いていました。理由は、結局はあらゆるものが東京に一極集中していて利便性が高いということですが、ただ今回のコロナ騒動を契機に本格的にあらゆる業務でオフィスを軽くする動きは加速するでしょう」(前出・経済ジャーナリスト)

 政治との兼ね合いで言えば、安倍政権が掲げる働き方改革にも資すれば、結果、小池都政が叫び続けてきた通勤ラッシュ解消にもつながるだろう。これを機に、ピンチをチャンスに変えるくらいの政治判断を示してほしいものだ。

(猫間滋)

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