「致死率10倍」の第二波から身を守るには? 全国「ご当地マスク」の活用度

《スペインフルの第一波は1918年3月に米国とヨーロッパで始まったが、この(北半球の)春と夏に発生した第一波は、感染性は高かったものの、特に致死性ではなかった。しかしながら、(北半球の)晩秋からフランス、シエラレオネ、米国で同時に始まった第二波は10倍の致死率となり、しかも15〜35歳の健康な若年者層において多くの死がみられ、死亡例の99%が65歳以下の若い年齢層だった》

 これは国立感染症研究所 感染症情報センターのHPに掲載されたスペインインフルエンザ(1918年〜)のパンデミックについて書かれた、驚愕の被害データだ。

 感染者数の減少とともに、世界各地でその第一波が封じ込められつつあるように見える新型コロナウィルス。だが、上記のデータが示すように、多くの感染症研究者は「秋から冬にかけて第2波が起こる可能性は否定できない」として警戒を呼び掛けている。

 そんなこともあり、かつてマスクと無縁だった欧米でもマスク着用が習慣となりつつある。

「オーストリアやチェコしかり、感染者が15万人を超えたドイツでは4月27日、ほとんどの州で公共交通機関の利用や買い物などの際の、マスクの着用が義務づけられました。また5月4日から外出制限を一部緩和したイタリア、さらには段階的な外出制限を緩和したベルギーでも公共交通機関を利用する場合、12歳以上の人にはマスクの着用を義務づけています」(国際ジャーナリスト)

 日本でも、ようやく使い捨てマスクの価格が下がり、手に入りやすくなった。一方、そんな中で注文が殺到しているのが、全国各地の「ご当地マスク」だ。

「なかでも人気なのが、石川県の伝統工芸品『加賀友禅』の技法で染め上げられた色鮮やかな綿布マスク(1,650円〜)や、福井県の良質な越前和紙の間にヨウ素というミネラル成分を含んだマスク(1,650円・和紙4枚付き)は殺菌抗菌効果が期待できるとして、なかなかの評判です。さらに、国産デニムの聖地と呼ばれる岡山県の児島では、3月中旬からメーカー数社がマスク生産をスタート。現在は3カ月待ちの人気だという話です」(社会部記者)
 布マスクのメリットは繰り返し洗って使用できるため、不織布マスクよりもコスパがよく、内側がガーゼになっているため、肌が弱い人にも付け心地が優しい。そして不織布マスクよりも保湿・保温効果があるため、特に乾燥する季節には、喉や肌を潤してくれる効果も期待できるという。

「さらに中国で医療用の高性能マスクをした生徒が体育の授業中に倒れ、死亡するなどの事故が相次いだことが、布マスク人気を後押ししたようです。高性能マスクをしたまま運動をすると、深刻な低酸素状態を引き起こす危険性がある、と報道されたこともあり、改めて布マスクの安全性が見直されたというわけです」(前出・社会部記者)

 とはいえ、布にしろ不織布にしろ、マスクというフィルターがあることで、熱がこもりやすくなるのは必至。これからの季節、屋外で長時間にわたってマスクを着用する際には、熱中症のリスクをおさえる工夫が必要だ。

(灯倫太郎)

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