売上3割増「ケンタの奇跡」と「丸亀製麺の悲劇」明暗わけたテイクアウト営業

 トリドールホールディングスが発表したセルフ式うどんチェーン「丸亀製麺」の2020年4月の既存店売上高は、前年同月比55.3%とほぼ半減したことが明らかとなった。

 同月の既存店客単価は105.1%とわずかに上昇しているものの、客数が52.7%と大幅に減ったことが売上高を押し下げている。丸亀製麺は今年2月まで8カ月連続で客数がプラス成長を記録するなど好調を維持していたが、新型コロナウイルスの影響をモロに受けてしまった格好だ。

 新型コロナで外食チェーンは厳しい状況が続いているが、4月には「マクドナルド」や「ケンタッキーフライドチキン」など売上高が上昇しているところも少なからず存在している。とくにケンタッキーに関しては、日本KFCホールディングスが発表した月次情報によると、4月の全店売上高は前年同月比で「120.6%」。既存店(出店から1年以上経過し、比較対象となるデータがある店舗)にいたっては前年同月比で「133.1%」。コロナ禍において、3割も売上をアップさせたことから、「ケンタッキーの奇跡」と報じるメディアもあるほどだ。にもかかわらず、同じ飲食店・外食業界にあって、丸亀製麺の売上が半減した理由はどこにあるのだろうか。

「ポイントは2つあります。1つは丸亀製麺がセルフ方式だという点。同店では、ねぎや天かすについては店員が添える形に切り替えましたが、天ぷらやおにぎりなどは並べられたものを客が取らなければならず、トングを定期的に交換する対策はとっているものの、そうした点が気になり利用を控える客が多かったと見られます。そして、もう1つはテイクアウトが振るわなかったことです。マクドナルドやケンタッキーフライドチキンが売上を伸ばした要因はテイクアウト需要が増えたことにありますが、丸亀製麺の場合は4月の客単価がほとんど増えていないことからもテイクアウトが弱かったことがわかります。汁物は冷めてしまうイメージもあり、やはり店内で食べるのが一番ですから、致し方ないところではありますが…」(経済ジャーナリスト)

 コロナ禍の「悲劇」に見舞われた丸亀製麺に、アツアツのうどんを求めて客が戻ってくるのはそう遠くないはずだ。

(小林洋三)

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