新型コロナウィルスの発生地ながら、早くも経済活動を再開している中国。
巣ごもり生活による反動で、5月のGWには「報復性消費」(リベンジ消費)といわれる「爆買い」「爆食」「爆旅行」が復活。都市部のデパートにはオープンと同時に客が殺到し、飲食店、高級ホテルも予約がビッシリと言われる。
「3200万人が暮らす重慶市にある家電量販店『蘇寧旗艦店』には、5月1日朝10時のオープンを待って客が押し寄せ、わずか1時間で1000万元(約1億5200万円)を売り上げたそうで、GW中、その客足が衰えることはなかったのだとか。また、閑散としていた北京市の西単や三里屯、王府井などの繁華街にある飲食店にも、以前のような”長蛇の列”が戻ってきているようです」(中国在住のジャーナリスト)
「爆旅行」については、まだ海外への渡航に制約が設けられていることから、近場へ3泊4日程度の「周辺遊」に出かけるケースが多いそうだが、買い物にしろ飲食にしろ、旅行にしろ、ストレスから解き放たれた人々が集まれば、タガも外れトラブルも起こるのが世の常。
「移動が再開したことで、ゴミのポイ捨てや歩きタバコ、禁止エリアでの飲食も復活。三密にもかかわらず、観光名所では集合写真を撮影したり、マスクをしないカップルが頬を合わせて自撮り棒を使用したりといった、かつての光景に戻りつつあるようです」(前出・ジャーナリスト)
また、北京や上海などの幹線道路では”名物”の交通渋滞が復活。とはいえ、渋滞の道路を走るバスはどれもガラガラで、加えて地下鉄の利用客も以前の半分以下だという。
「爆買いや爆食などで、人と接触することはさほど気にならないのに、バスや地下鉄などの公共機関は怖い、と思っている人が多い。そこが中国人らしいところで、じゃあ、車があればいいじゃないか、として始まったのが車の爆買い、だったというわけです」(前出・ジャーナリスト)
4月に開かれる予定だった北京モーターショーはコロナの影響で秋に延期されたが、代わって開催されたネットモーターショーには国内外から約50のブランドが参加、のべ9000万人以上がアクセスしたと報じられる。
おかげで2月には前年比の8割近く落ち込んだ中国の新車販売台数も3月、4月とV字回復。それに伴い日本車の販売台数も急回復しているといい、中国にある日本の自動車メーカーの工場も3月末からフル稼働状態だという。
皮肉なことに、中国の「爆買い再燃」が、日本企業にとっては救世主になるかもしれないというのも事実。中国の経済活動の再開を、複雑な心境で見つめているのは日本人だけではないはずだ。
(灯倫太郎)