中国の「偵察気球」撃墜が米動物園で死んだ「パンダ」に飛び火

 2月1日にアメリカ北西部のモンタナ州に突然出現した気球問題は、ブリンケン米国務長官の訪中を延期させ、4日にアメリカ国防省が撃墜したことを発表すると中国が猛反発し、にわかに米中間の火種に油を注いだかっこうとなった。

 そりゃそうだ。国土上空を「偵察用」と思われる飛行物体が漂っているのだから、アメリカにしてみれば「よくもまあ堂々と」というもので、するとアメリカ国内でもバイデン政権の〝弱腰〟批判の材料となっているようだ。

「共和党下院外交委員のマイケル・マコール議員(テキサス州)は、『気球がアリューシャン列島上空を漂っていた辺りからアメリカの空域に入ってくることは認識していたはず。にもかかわらずそれを許したバイデン政権は安全保障上問題がある』との声明を出して対決姿勢を打ち出した。今後は、バイデン政権の議会運営を難しくする一因にもなりそうです。また、トランプ政権で国務長官を務めたマイク・ポンペオ氏は4日、くまのプーさんが風船を片手に持って空中にブラ下がっているイラストをツイッターにアップし、やはりバイデン政権の対応を批判しています。彼は以前にもプーさんを使った風刺で中国をチクりとやるなど、対中強硬派で知られています」(全国紙記者)

 くまのプーさんは、風貌が似ていることから習近平国家主席の隠喩となっている。だから中国国内版ツイッターといわれるウェイボーでは、プーさんは検閲の対象で投稿が禁じられている。ポンペオ氏は22年3月に台湾を訪問し、台湾から勲章を得ている。そのポンペオ氏がプーさんの投稿を行えば、中国の神経を逆なですること著しいのは当然だ。

 さて、この気球問題が飛び火したものかは不明ながら、アメリカへの当てこすりとも捉えられるタイミングで、今や中国の御用メディアとしてお馴染みになった「環球時報」が、アメリカでのパンダの死亡を取り上げた。

「アメリカ・テネシー州メンフィスで飼育されている2頭のパンダのうち1頭の『楽楽(LE LE)』が残念ながら2月1日に死亡し、中国動物園協会は2日に『憂慮』の念を公表していました。ところが5日になって環球時報が改めてこの死を取り上げたのです。実は楽楽は21年にずいぶんと痩せ衰えた姿の写真がSNSにアップされて、虐待疑惑が持ち上がったことがあったのです。パンダの寿命は一般的に20~25年で2頭共にこの時点で20年を超えて高齢、だからこの時は協会もメンフィス動物園とのやり取りで飼育環境に問題がないことを把握しているとしていました。ただちょうど今年、パンダが中国に返還されることになっていたので、このタイミングで再度、死亡を取り上げるにはうってつけだったとも言えます」(同)

 はてさて、プーさんやパンダまで登場することになった気球問題。米中の火種はどこで大火となって燃えあがるか分からないから恐ろしい。

(猫間滋)

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