告発動画で見えた中国“コロナ残酷物語”「住民を撃ち、重篤老人の顔に枕を」

 4月8日に約2カ月半ぶりに都市封鎖が解除された中国・湖北省の武漢。しかし新型コロナウイルスの「震源地」では死者数が「隠蔽」され、ニュースでは報じられない惨劇が起きていた。

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)の中心地にあった中国は、本土の感染者数は8万2341人、死者数は3342人と発表していた。それが4月17日になって、武漢だけでこれまでの発表より1290人多いと訂正している。だが、その数字も額面どおりには受け取れない、ある情報をキャッチした。極秘動画を提供した、中国に近いジャーナリストが話す。

「3月下旬頃、中国の情報機関である国家安全部の関係者から、同国の現状を告発する形で送られてきた50秒ほどの動画で、武漢の様子を映したものです」

 その動画を再生してみると、防護服を着た人物がカメラを回して室内を撮るところから始まる。ゆっくりと廊下を歩き、ドアが開いたままの室内にカメラを向けると、その床は、何かを包み込んだ人型の黒い袋で足の踏み場もないほど埋め尽くされていた。

「袋の中身は遺体です。武漢では、年明けの感染ピーク時は毎日、数千人規模で拡大し、中国政府は全土に広がっていくことを恐れ、人民解放軍が町を閉鎖。逃げ出そうとする住民がいれば撃ち殺すこともありました。その間にも武漢は感染者が増え続けるばかり。病院のベッドがすぐに足りなくなると、人民解放軍の武力行使はエスカレートした。感染者を各地で隔離すると、放置して死ぬのを待つばかりか、重篤な老人の顔に枕を当てて窒息死させたり、健康な患者も対面で話している背後から別の軍人が首にヒモを回して絞殺し、始末していったそうです」(ジャーナリスト)

 動画の続きを見ると、部屋に入りきらなかった遺体袋が廊下や洗面所に乱雑に積み上げられている。

 この動画に出てくる建物はふだん、学校として使用されているというが、どの部屋にも机やイスはほとんど見当たらず、壁に貼り紙などもない。遺体を置くために全て撤去されていたのだ。

「放置された遺体は、2月までの間に次々と燃やして処分していきました。そして隔離、処分は武漢に限ったことではなかったともいいます。同時に、中国では約23万人の携帯電話が突然、一斉に停止になったんです。動画を送ってきた国家安全部の関係者は、それだけ感染した死者数がいるとみています」(ジャーナリスト)

 当然、この死者数は公表された人数に加算されていない。23万人ともなれば、発表をはるかに上回る驚くべき数字だ。

 携帯電話が急にストップした理由について、2月末に発売された「ルポ デジタルチャイナ体験記」(PHPビジネス新書)の著者・西谷格氏は、あくまでも一般論としてこう解説する。

「中国の携帯電話は実名のプリペイド式で、しばらく使わないとチャージ残高がゼロになり、自動的に解約される仕組みになっています。しかし武漢のケースに限らず、新型コロナウイルスが感染拡大して以降、契約者の大幅減は疑問視されていて、中国政府は企業の操業停止で携帯電話を使用しなくなったことが原因だと説明しています」

 中国政府の数字の「ごまかし」には、世界からも疑惑の目が向けられている。

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