遅すぎた緊急事態宣言、新型コロナ“欧州ルート”のヤバさは想像を超えた

 ようやく安倍晋三総理が重い腰をあげて「緊急事態宣言」を発令したとはいえ、事態は予断を許さない。これまで感染を抑えられていた日本の状況が一変しつつあるのは、連日の政府や自治体の発表などでもわかるだろう。

「日本政府が欧州などへの海外渡航を中止するレベル4を出したのは3月18日。すでに欧州では感染爆発しており、日本からは春休みを利用して卒業旅行に出かけた大学生が、より凶暴化した、『L型』に分類されるコロナウイルスに罹患。感染してから発症まで平均5日、最長で2週間と潜伏期間が長いため、帰国後に発症し、国内の感染拡大の起爆剤となった可能性があるのです」(感染症専門医)

 こうした、若者由来のコロナ感染に関し、医療ジャーナリストの松井宏夫氏が警鐘を鳴らす。

「この時期に卒業旅行など海外に出かけることは自重できたはず。そもそも海外に比べ、国内のPCR検査数が圧倒的に少ないのが問題なのです。日本では症状が出て感染した可能性が高くなってから検査しており、自分が感染していることも知らず、歩き回っている若者が多い。電車などのつり革にウイルスをこすりつけ感染を拡大させている可能性もあります」

 思い出旅行がこれ以上の国難へと連鎖しないことを望むばかりだ。

 この若者の間でコロナが蔓延する窮状に、西武学園医学技術専門学校東京校校長・中原英臣氏が訴える。

「そもそも若者はお年寄りに比べ、重症化する率が低いだけで、コロナに対し安全なわけではありません。むしろ、この時期に出歩く若者が増えたことで、より感染者を拡大させてしまった。また致死率に関しても、患者が100人なら若者が死ぬ可能性は低いものの、1000人、1万人と患者が増えればどんどん危険度は増えていきます。パンデミック状態となれば、アメリカや欧州のように多くの若い人が亡くなることになる。今の政府の対応は全てが後手後手で、布マスク2枚の支給など、まったく科学的根拠のない話です」

 いわば、野に放たれた野獣がいつ我々にかみついてくるのかわからない状況なのだ。

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