あのカルト集団を徹底追跡(2)「パナウェーブ研究所」教祖死去でもブログを

 千葉県内のホテルでミイラ化した男性の遺体が発見された事件を覚えているだろうか。99年、インドのグル(指導者)、サイババの弟子を名乗るヒゲ面の男性らが記者会見。ミイラ化遺体は「まだ生きていた」と語り、「定説」やら「グルはエビとそばしか食べない」などと意味不明な発言を繰り返したあの事件、と言えば思い出すのではないか。

 ヒゲの男性の名は高橋弘二氏。当時、自己啓発セミナー会社「ライフスペース」代表で、相手の頭を軽く叩く「シャクティパット」なる儀式で病気を治せると主張。重病の男性をホテルで「治療」していたものの、亡くなってしまった。

 ところが、まだ生きていると言い張って「治療」を続行。警察が発見した時にはミイラ化していたという衝撃的な事件だ。翌年に関係者11人が逮捕。多くは不起訴となったが、高橋氏は殺人罪で起訴され懲役7年の実刑が確定した。

 その後もライフスペースは「SPGF(シャクティパット・グル・ファウンデーション)」を名乗り、「ミイラ事件」を冤罪であると主張するシンポジウム開催や出版活動を継続。しかし、09年に出所した高橋氏が公の場に出ることはなく、活動を支えたのは妻の伸子氏や幹部の釣部人裕氏らだ。15年12月に高橋氏は死去。釣部氏によると、SPGFは17年に活動を停止したという。

 その釣部氏は18年頃から豊島区倫理法人会の会長におさまっている。倫理法人会は、PL教団の前身である「ひとのみち教団」を離脱した丸山敏雄氏が1945年に創設した保守系の運動団体「倫理研究所」(現在は社団法人)の会員組織だ。ライフスペースとは、もともと関係がない。

 だが、豊島区倫理法人会には現在、前出の伸子氏をはじめ、ミイラ事件時の逮捕者(不起訴)を含めた複数のメンバーも会員として加入しており、まるでライフスペースによる事実上の乗っ取りのようにも見える。釣部氏に直接確認すると、「そのように疑う声は聞いておりません。これ以上お話しすることはありません」と答えるのみ。一方、本部にあたる倫理研究所に尋ねると、担当者は「まったく知らなかった」と絶句した。

「会員個々人の過去の経歴をそこまで詳しくチェックはしていないので‥‥。当会ではモーニングセミナーを開催していますが、その場での商行為や勧誘活動、会と無関係な活動は禁じています」(担当者)

 とは言うものの、豊島区倫理法人会のサイトでは伸子氏がライフスペースのメンバーとともにヨガ団体「NEOビジョンアカデミー」が紹介され、団体のウェブページへのリンクまで掲載されている。「ビジョン」は、高橋氏がライフスペース時代に多用していた用語だ。乗っ取りはともかく、倫理法人会がライフスペース残党に利用されていることは間違いない。

 もうひとつ、死者を出したカルト団体に「パナウェーブ研究所」がある。03年に、多摩川に出没していたアザラシの「タマちゃん」に餌やりなどをする活動が報じられたあと、白ずくめの服装と車で全国を移動する「白装束集団」が話題になった、あの団体だ。

 白装束集団のキャラバンは、当時本部があった福井県の山中に到着し落ち着いたが、同年、施設内で大学助教授が変死し、パナウェーブ研究所の関係者5人が逮捕された。

 3年後の06年。パナウェーブ研究所の母体である宗教団体「千乃正法会」の教祖・千乃裕子氏が死去。以降、パナウェーブ研究所は自然消滅し、福井の施設でもメンバーたちの「白装束」は見られなくなった。

 しかし、千乃正法会と関連出版社「エルアール出版」の活動は続いているようで、昨年まではブログが更新されていた。もともと千乃氏は「ニビル星が地球に衝突して人類は滅亡する」と予言。教祖亡きあとの千乃正法会のブログも、スピリチュアルな予言や宇宙人のメッセージなど、意味不明な内容が並んでいる。

(ジャーナリスト・藤倉善郎)

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