ミラノ、ロンドン、パリ、ニューヨーク─。世界各地でドミノ倒しのごとく外出禁止令が発動! 人けのない繁華街の光景はまさにゴーストタウンそのものだ。中国・武漢から放たれた「恐怖の大魔王」が世界に闇を広げる中、もはや東京も風前の灯。悪夢のコロナが制圧した首都の今を緊急レポートする!
「感染爆発の重大局面にある」
3月25日夜、小池百合子都知事は緊急会見を開き、不要不急の外出を控えることを都民に要請した。あわせてこの日の新たな感染者が41人であると発表し、東京が北海道を抜いて、全国1位の感染者数となったことが判明。さらに3月27日には、3日連続で新しい患者が40人以上に上ったこともわかった。今後も感染者が増え続けるなどの状況によっては、「ロックダウン(都市封鎖)」という強力な措置を取る可能性まで示唆したのだ。
都庁詰め記者が解説する。
「ロックダウンとはいえ、基本的には外出の自粛やイベントなどの制限は行えますが、海外のように外出しただけで罰金を科したり、電車やバスなど公共機関の停止までは行えません。オーバーシュート(感染爆発)、ロックダウンなど、おどろおどろしい横文字を使うことでインパクトを打ち出すのが小池流だと評価する記者がいますが、東京五輪の開催延期が決まったとたんに感染者が急増したことを不審がる者もいて……」
「ロックダウン」、その強力なワードに、庶民は敏感に反応した。会見直後の都内スーパーは夜にもかかわらず、食料品を求める客であふれかえり、棚から日用品が消え、レジ前には買い物かごいっぱいにカップ麺やパスタなどを詰め込む客の長蛇の列が続く。
猛威を振るうコロナウイルスの状況について、医療ライターが説明する。
「新型コロナ肺炎の患者数は、今や発生源の中国を抜き、8万5000人超にまで拡大したアメリカが1位。イタリア、スペイン、ドイツ、イラン、韓国などが上位を占めます。日本はかろうじて踏みとどまろうとしている状況です。しかし、3月25日に発表された41人の感染者のうち、病院などでの院内感染者は11人、海外渡航歴者が5人、それ以外の感染経路不明者が10人以上いたことが危機感を高めている。少なくとも同数の、自覚症状のないコロナ感染者が都内に潜在している可能性が高いのです」
一般的にインフルエンザよりも潜伏期間が長く、感染しても8割が無症状か軽症と言われるコロナウイルスだけに、首都・東京はまさに予断を許さない崖っ縁に立たされているのだ。
「実はWHOの発表したコロナ感染者のデータを見ると、興味深い数字が表れてくる。感染者数では上位にいる韓国ですが、これはウイルス感染者と接触したと思われる人を徹底的に追跡調査し、PCR検査を積極的に行ったことによります。その結果、韓国は1日100人超、三桁の患者が増え続け、感染者数は急上昇カーブを描きました。これまで感染爆発が抑えられていた日本ですが、海外帰国者、市中感染など新たな感染例が増え続けている。想像以上に感染力の高いコロナウイルスに、防疫網はすでに決壊しているも同然。しかも、韓国の患者数のカーブと日本の患者数のグラフがきわめて酷似しており、韓国が日本よりも10日から2週間ほど先行した患者数のカーブを描いている。地理的に近い日本も韓国同様のグラフを描く可能性が指摘されています。さすがに医療制度の行き届いた日本では、感染者が増えてもイタリアのように致死率10%を超すことはないでしょうが‥‥」(医療ライター)
日本は阿鼻叫喚に包まれようとしているのか。医学博士の中原英臣氏はこう語る。
「日本はアメリカ、イタリアに比べれば踏みとどまっていますが、一方で爆発的感染を引き起こす一歩手前だとも言えます。お花見シーズンとはいえ浮かれ気分は抑え、手洗いやうがいを励行することでコロナを抑えられるはずです」
雪まつり直後にクラスター感染を起こした北海道では「緊急事態宣言」で外出を控えた効果により、その後、感染爆発が抑えられている。それだけに、東京も外出自粛の効果を期待したいところだ。