若者を餌食にする「キャンパスカルト」の正体(3) 桜田淳子の「統一教会」は…

 16年に行われた参院選。前年の安保法制成立を受けて、安倍政権打倒のため野党共闘の機運が高まった。これに乗じて石川選挙区の野党統一候補として登場したのが、親鸞会幹部信者の弁護士・柴田未来氏だ。もともと親鸞会を「カルト」として批判してきた日本共産党まで、野党共闘を名目に相乗り。「親鸞会は反社会的団体ではない」(共産党石川県委員会幹部)とまで言い放った。当時の民進党、社民党なども党首が現地入りして柴田氏を応援。学生団体SEALDs(現在は解散)や市民団体も支援した。

 柴田氏は落選したが、この「野党とカルトの共闘」が行われていた間、親鸞会はこれを利用して勧誘活動を行っていた。大学関係者Y氏が言う。

「うちの学生が友人から声をかけられ、10人ほどの学生たちと一緒に、大学近くのビルの一室に連れていかれたそうです。そこで、親鸞聖人のアニメを見せられた。さらに『親鸞会は(社民党の)福島みずほ氏から応援を受けている』『柴田未来という人が石川選挙区から立候補しているから応援してほしい』などと言ってきたそうです」

 偽装勧誘ではなく、早々に親鸞会であることが明かされている。だが、宗教勧誘と選挙活動がないまぜになり、知名度がある政治家が布教に利用された形だ。

 90年代に歌手の桜田淳子の入信と合同結婚式参加で注目された「統一教会」。12年に教祖である文鮮明氏の死後、教団内部で息子同士の勢力争いも起きた。が、いまだに献金要求などによる金銭収奪の被害が続いている。

「大学では原理研究会(CARP)を名乗ります。また、教団本体は15年に『世界平和統一家庭連合』と名称を変更しました。勧誘の際、彼らは統一教会とは名乗らずこれらの名称を名乗ることで、正体隠しはしていないかのような体裁をとっています。学内だけではなく、学外でボランティア団体や若者向けアンケートと称して接触し、勧誘したりもします。これらは学生だけを狙ったものではありませんが、親が信者である2世信者の学生が路上勧誘もしているので、若者が引っ掛かるケースもある」

 こう語るのは、統一教会問題を取材するジャーナリストの鈴木エイト氏。次のように続ける。

「もともと統一教会は国際勝共連合と称する保守団体として反共運動も展開してきました。近年では安倍政権を支持し、2世信者を動員して『勝共ユナイト』という青年遊説隊を組織。街頭演説やデモなどを繰り返しています」

 顕正会は、近年では「反原発」「反安倍政権」を前面に打ち出し、同趣旨のデモなどに便乗して機関紙「顕正新聞」を配布。街頭でのアピール活動を活発化させている。

 こうした政治活動も、宗教団体が若者との接点を持つきっかけになっている。

(ジャーナリスト・藤倉善郎)

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