過去のアイドル雑誌が「お宝化」することは珍しくないが、その価値は保存状態などによって大きく左右される。表紙に傷があったり、汚れたページがあったりするだけで、暴落することは珍しくない。ところが、そんな“不良品”でも高値で処分する裏技が存在するという。それが雑誌の切り抜きおよびファイリングだ。
「アイドル雑誌の切り抜きは、すでにネットオークション市場でもひとつのジャンルを形成しています。大手オークションサイトだと、切り抜きだけで月に数百万円の売買がされています。現在、話題だったり人気がある人物は、多く出回り、高く売れます。ジャニーズだとスノーマンが強いですね。多くの記事を集めたファイル数冊で3万円前後の値がつく場合もあります。不謹慎な話かもしれませんが、今年亡くなった三浦春馬さんの記事を集めたものも多く出品されており、切り抜き約100枚が10万円以上で落札されていたりもします。また、理由は不明ですが、人気ドラマ『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)で知られる俳優、林遣都の切り抜き500枚が15万円近くで落札されていたのはちょっと驚きました」(ネット転売事情に詳しいライター)
こうした高額取引の現状について、レアものを扱う古書店の店主はこんな私見を述べる。
「自分の追っかけているアイドル目当てに古い雑誌を買ったりするファンもいますが、目当ては雑誌自体にあるのではなく、そのアイドルが載っているページや付録だけです。ということは、その部分だけを切り抜いたものでも価値は同じなわけです。むしろその人の記事だけがファイリングされている方が、雑誌を集める手間は省けますし、ファンとしてはお得という感覚もあるようです」
当然、年代が古い雑誌の切り抜きにも需要があるようで…。
「80年代もしくはその前の年代だと、岡田有希子さんの切り抜きは、今でも数十枚の切り抜きが1万円以上で取引されています。他には桜田淳子さんや現在は政治家の三原じゅん子さん(写真)も人気ですね。男性ですと、西城秀樹さんや沢田研二さんの品もよく出ていますね。ファイル1冊で2万円くらいで取引される場合があります。70年代になると、すでに出回っている雑誌自体が少ないこともあり、グラビア数ページに3万円以上の値がついたりもします。そこまで有名ではなくても、『え? この人が…』という人や、ほとんど無名のアイドルのブツに驚くほどの高値がつくのが、この切り抜き事情の奥深さ。もしも押し入れなどから古いアイドル雑誌が出てきたら、登場するアイドルの名前をチェックして、ネットオークションなどで相場を調べてみては?」(前出・ライター)
遠い昔に集めていたコレクションを“黒歴史”と見るか、黄金色のお宝と見るか…。切り抜きマニアの判断にゆだねてみては?
(オフィスキング)