天才テリー伊藤対談「田淵幸一」(1)次回の野球殿堂は掛布に投票したい

田淵幸一(たぶち・こういち)1946年、東京生まれ。69年、法政大学卒業と同時に阪神タイガースにドラフト1位で入団。打率.226、22本塁打、56打点を記録して新人王に輝く。75年には43本で本塁打王を獲得した。79年、西武ライオンズへトレード移籍。82年、中日ドラゴンズを破って自身初の日本一に。83年にも巨人を下して2連覇を達成した。84年、現役引退。90年から92年はダイエー・ホークスの監督を務め、2002年と03年は阪神タイガースでチーフ打撃コーチに就任、03年のセ・リーグ優勝に貢献。08年の北京五輪にヘッド兼打撃コーチとして出場。10年から12年は東北楽天ゴールデンイーグルスの1軍ヘッド兼打撃コーチを務めた。今年1月14日、野球殿堂入り。現在は野球評論家として活躍中。

 阪神タイガースでは江夏豊との黄金のバッテリー&主砲として活躍。西武ライオンズの82、83年リーグ優勝・日本一に貢献し、今年野球殿堂入りを果たした田淵幸一氏。選手時代から北京オリンピックの思い出、今年のペナントレース予想までを、天才テリーに語り尽くした!

テリー まずは野球殿堂入り、おめでとうございます。どんな気分ですか。

田淵 もう正月も終わっているのに、どこへ行っても「おめでとうございます」と、知らない人からも言われましてね。率直に言って心地よいです。

テリー ハハハハ、ですよね。

田淵 プロに入って、ちょうど今年で50年。皆さんからは「遅すぎる」なんて言ってもらえましたが、生きている間にもらえましたから。 

テリー 殿堂入りすると、たしか東京ドームの野球博物館に写真が飾られるんでしたっけ。

田淵 プレートですね。あそこに行けば、日本の野球の歴史が全部わかります。ちなみにテリーさん、殿堂入り第1号は誰か、ご存じですか。

テリー うーん、正力(松太郎)さんですか?

田淵 正解です。すごいなァ、さすが野球にお詳しい。

テリー いやいや、だって日本プロ野球の父と言われているじゃないですか。

田淵 じゃあ、最初にもらった外国人選手は?

テリー ‥‥スタルヒン?

田淵 正解! すごいな。外国人選手はもう1人、ウォーリー与那嶺さんしかいないんです。しかも殿堂入りの3分の1は選手じゃなくて、野球界に貢献した人なんですよ。

テリー そこに名前が入ったんですから、感慨深いんじゃないですか。

田淵 昭和58年にいただいた「正力賞」もうれしかったですけど、それに匹敵する感じですね。殿堂入りが何人いるか、知っていますか。

テリー またクイズですか。400人ぐらい?

田淵 207人です。私が205人目で、早稲田で監督を務められた石井連蔵さんと元慶応監督の前田祐吉さんが続きます。

テリー おふたりともすでに故人で、前田さんの息子さんが「田淵さんと同時に入れてうれしい」とコメントを出していましたね。

田淵 7月19日に福岡ドームで表彰されて、プレートをもらいます。次回から私も投票権がもらえるから、掛布(雅之)に入れてやろうかな、と。

テリー プレートって自宅用のものもあるんですか。

田淵 いえ、博物館に飾るものだけです。プレートの半分ぐらいの大きさで、顔を立体的に彫ってくれるんですが、博物館で星野(仙一)のを見たら、ドラゴンズじゃなくて楽天の帽子だったんです。

テリー ああ、日本一になったからだ。田淵さんはどっちを選ぶの? やっぱり阪神?

田淵 ですね。やっぱり青春時代の10年を過ごした阪神の思い出が深いから。でも、そう言ったら西武関係者がむくれてしまってね。「なんだ、お前は! 2回も西武で日本一になっているのに!」って。

テリー フフフフ、いろんなチームで活躍するのも考えものだね。

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