ゴーマンぶりは元号私物化だけにとどまらない。国会でもその本性を発揮していた。
昨年12月に発覚した厚生労働省の「毎月勤労統計」の不正問題を巡って国会では連日、論戦が続いている。政府与党は野党から厳しい批判を浴びているが、どこか余裕の表情だ。その理由について、政治評論家の小林吉弥氏が説明する。
「統計不正問題は官邸の圧力や『モリカケ問題』の時のように忖度があったのか注目されていますが、野党の追及に迫力がない。しかもワイドショー番組で取り扱われていないことでわかるように世論が興味を示していません。恐らくこの国会中に真相や真実が出る可能性はゼロ。政府与党も逃げ切れるとわかっています」
実際、今年2月に日本経済新聞社とテレビ東京による世論調査では、安倍内閣の支持率は51%で先月と横ばい。3月6日から学校法人「森友学園」の補助金詐欺事件の裁判が始まったものの、安倍総理が関与していた証拠を示すことは難しい情勢だという。
勤労統計の不正問題もしかり。野党の甘っちょろい追及では政権の足元が揺らぐことはないと確信しているのか、安倍総理は不遜な態度で挑発を繰り返しているのだ。
2月6日の参院予算委員会では、国民民主党の足立信也議員(61)から不正統計問題を追及され、「特別監察委員会の報告書は読んだのか」と質問されると、
「総理大臣でございますので、森羅万象全て担当しておりますので、日々さまざまな報告書がございまして、その全てを精読する時間はとてもない」
と攻撃的に言い放った。
〈宇宙に存在する一切のもの〉を意味する「森羅万象」発言で、一国の総理どころか神の領域に達したのか、とネット上も騒然となった。
「口癖みたいなところもあって、過去にも何度か発言しています。今回も発言後の反響が大きく、『安倍ゼウス』と呼ばれて話題になりました」(政治部記者)
逆にこれに気をよくしたのか、その4日後となる2月10日の自民党大会では、「悪夢のような民主党政権」と挑発して物議を醸している。野党側は撤回を求めたが、安倍総理は何が悪いのかと言わんばかりに拒否。そして極め付きは、2月28日の衆院予算委員会のこと。立憲民主党の長妻昭議員(58)から「統計問題を甘く見ないほうがいい。扱いによっては国家の危機になりかねない」と忠告された安倍総理は、
「国家の危機かどうか聞いたが、私が国家です。総理大臣ですよ」
とまで放言。さながら独裁者気取りである。