羽生結弦が出場するフィギュア大会の“厳戒態勢”が東京五輪組織委員会にも報告されそうだ。
2月6日に開幕するフィギュアスケート四大陸大会(韓国・木洞アイスリンク)にも新型コナロウイルスの影響が広がっている。世界中から集まった記者、カメラマンに対し、中国・湖北省に滞在した人との接触の有無、渡航歴、現在の体調などを申告させる“規制”が行われた。その様子は一部でも報じられたが、「渡航歴ナシ、体調良好」と申告しても体温検査を受けなければならないほど徹底しているという。
「会場スタッフのマスク着用が義務づけられていました。フィギュアに限らず、スポーツの国際大会で新型ウイルスを広めるようなことになったら、一大事ですからね。観客に対してもサーモグラフィーを設置して体温チェックを行っています。各国プレスはマスクを着用しての取材活動になりそうです」(特派記者)
一般的に新型ウイルスのワクチンが完成するまで半年は要するという。東京五輪が始まるころはインフルエンザの季節ではない。しかし、この四大陸大会で行われている問診票の記入や簡易診断は東京五輪のサンプルケースにもなりそうだ。
「問題は選手と取材記者の接触ですよ。選手への取材は基本、各国同時のインタビューです。万が一、取材者の中にキャリアがいて、それがあとから見つかった場合、大変なことになりますよ」(同前)
とはいえ、各国メディアは羽生結弦に聞きたいことが山ほどある。ライバルであるネイサン・チェンが学業優先のため、不参加。チェンが出なければ、羽生へ取材が集中するだろう。
また羽生は、大会前に演目を変更することを発表。SP、フリーともに18年平昌五輪で使用した「バラード第1番」「SEIMEI」に戻すという。シーズン途中での演目変更は異例のこと。それも、3種類4本の4回転ジャンプという“改定版”で臨むようだ。
「4本のジャンプのなかには4回転ルッツもあるらしい。4回転ルッツは平昌五輪のときは当時の故障の影響で回避しています。各国メディアは、回避した技を入れてきた理由も聞きたがっています」(体育協会詰め記者)
取材時間が長くなれば、その分、選手、メディア同士の接触時間は長くなる。かといって、取材規制するわけにもいかない。
会場スタッフの取材の仕切り、選手に対するメディア対応の制限など、東京五輪組織委員会も参考にすべきところがありそうだ。
(スポーツライター・飯山満)