「PL学園」野球部復活で桑田真澄氏が直面する“脱・勝利至上主義”

 名門復活か? PL学園野球部OB会の総会が行われ、同会長である桑田真澄氏の口から衝撃的な報告がなされた。

「昨年、教団側と何度か話し合いの場を持つことができました。野球部の復部について考えていることが分かりました。今は、その方法やタイミングを模索していると…」

 額面通りに捉えれば、春夏の甲子園で計7度の優勝を誇る名門野球部が復活するかもしれない。しかし関係者によると、「そこまで話は進んでいない」と、桑田氏の勇み足を指摘する声も聞かれた。

「桑田氏が学校側と話し合いの場を持ったことは複数のOBメンバーも知っていました。でも、学校経営者の言う『考えている』のニュアンスが違うんじゃないかな」

 PL学園出身のプロ野球解説者がそう言う。

 そもそも、名門PL野球部が事実上の廃部に追い込まれたきっかけは、相次ぐ不祥事だった。それも、寮生活が関係していた。

「PLは全国から甲子園出場を目指すトップ選手が越境入学してきました。上下関係にも厳しく、プロに進んだOBが理不尽な締めつけなどを面白おかしくしゃべっているのも、学校経営陣は不愉快に思っていたようです」(同前)

 しかし、今まで復部に関して聞く耳すら持たなかった学校側を同じテーブルに着かせた功績は大きい。これは桑田氏の熱意であり、「彼でなければできなかった」という。この件は勇み足を指摘する先のOBも認めていた。

「桑田氏はスポーツの理不尽な上下関係や暴力的指導をなくすべきと、メディアで再三訴えてきました。これは、プロ野球に進んだ他のOBとは違い、好印象を与えたはずです」(アマチュア野球担当記者)

 桑田氏はPL学園が初参加となったマスターズ甲子園などのイベントにも協力し、復部を願うOBを一つにまとめてきた。しかし、自身も「不透明」としていた復部の方法はいまだ話し合われていない。

「大阪は大阪桐蔭、履正社などの新しい強豪校が有望な生徒を集めており、もはやPLが割って入る隙間もありません。不祥事の根源となった野球部員の寮生活は当然、見直しとなるでしょうし、寮自体も取り壊されている。であれば、PL学園野球部はどんな方向性を目指すのか。強い野球部ではなく、同好会的な活動になりそうです」(同前)

 他の強豪校との差別化を図る意味で、エンジョイ・ベースボールも「アリ」かもしれない。復部の方法について、今後、桑田氏は他のOBたちとも意見調整しなければならないが、野球部の在り方を巡って衝突する恐れもある。桑田氏の交渉はこれからが本番だ。

(スポーツライター・飯山満)

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