深刻な客離れと閉店ラッシュによって”鳥貧民”と揶揄されていた居酒屋チェーンの「鳥貴族」が、12月6日に発表した11月度の月次報告で、既存店売上高が1.5%増と1年11月ぶりに前年を上回り、ようやく復活の兆しが見え始めている。
「同店は280円均一という安さをウリに成長を遂げた人気居酒屋チェーンでしたが、17年10月に人件費の高騰を理由に298円均一に値上げしたところ、急速な客離れが進行していました。今年9月に発表した19年7月期の当期純損益は2億8600万円と東証一部上場以来初の赤字に転落、既存店売上高は前年比を下回り続け、《鳥貴族は終わった》《復活の策なし》など厳しい声が相次いでいたのです」(ビジネス誌記者)
しかし、6日に11月度月次報告と同時に発表された20年7月期第1四半期決算短信(8〜10月)によれば、売上高こそ前年比4.6%減だったものの、営業利益は同3.7倍、純利益は同5.4倍と、こちらのデータからも復活の兆しを見て取ることができる。
「この状況にネット上では、《1年そこらで回復基調に乗せられるのはすごい》など、応援の声が上がっていますね。再起不能とまで言われた鳥貴族を立て直した大倉忠司社長の手腕はさすがとしか言いようがありません。ただ、今回の売上増は不採算店を退店させたことや、それに伴い自社競合が緩和された点も大きいでしょう。今後、完全復活を果たすためには、今さら値下げもできないので、298円という価格の中でどれだけ魅力的な商品を提供できるかに掛かってくるでしょう」(経営コンサルタント)
我々庶民の味方だけに、粘り強く上昇カーブを描いて欲しいものだ。
(小林洋三)