巨人の契約更改で衝撃が走った。ベテラン・中島宏之が87%の超大幅減額を受け入れ、「グラウンドでは年齢は関係ないので、より試合に出られるように」と、復活を誓った。その表情に、プロ野球史上3番目、野手では同最大となる減額を提示された屈辱や悲哀はない。むしろスッキリした感じだった。
減額幅はもちろんだが、更改後の会見に集まった記者団が驚いたのは、中島の言動が去年の今ごろとは正反対だったことだ。
「来季の年俸は、1億5000万円から2000万円に下がります。昨年オフ、中島はオリックスから同じように大幅減額を提示されました。3億5000万円から1億円前後へのダウン提示でした。それを不服とし、オリックスを退団して巨人入りしたんですが…」(スポーツ紙記者)
野球に「もしも」は厳禁だが、巨人入りにあたって提示された今季年俸と、オリックス残留で受け取っていた額はさほど違わなかっただろう。今回の“超”大幅減額を受け入れたのもそうだが、中島の決断の背景には09年WBCで意気投合した原辰徳監督という存在もあるようだ。
「今季は主に代打での出場でしたが、セ・リーグはピッチャーが打席に立つため、準備を始めるタイミングが分からず、阿部がアドバイスをする場面もありました。セ・リーグにも慣れてきたころですし、復活を期待する声も聞かれます」(球界関係者)
中島自身も復活に向け、オフ返上でバットを振ると語っていたが、こんな情報も聞かれた。
「来季は一塁手でスタートします。強打の外国人選手を獲り、一塁を守らせる話もありますが、一軍登録できる外国人選手枠の問題がある。新加入のビエイラは救援タイプで、クローザーはデラロサと決めています。先発投手もコマ不足なのでメルセデスは外せません。外野手のパーラはクリーンアップを予定して獲得しました。ビエイラ、デラロサ、メルセデス、パーラで一軍登録の4人枠は確定的。となると、中島と正一塁手争いをする新外国人選手は格下ということになる。レギュラー定着も見えてくるというわけです」(同前)
主砲・岡本は三塁で固定するという。中島が減額を快諾したのは、こうした外国人選手枠の説明をされたからかもしれない。
(スポーツライター・飯山満)