台湾有事で真っ先に攻撃されるのは沖縄?中国軍演習が示すリアルな戦争シナリオ

 近年、国際社会における緊張が高まる中、特に東アジア地域では台湾を巡る情勢が注目されている。中国人民解放軍の動向はその一端を示しており、例えば、中国海軍は7月に日本周辺海域で航空母艦を用いた迎撃訓練を実施した。この訓練は、米軍の空母を想定した模擬戦闘であり、台湾有事を念頭に置いたものと考えられる。このような軍事行動は、沖縄が台湾有事の際、戦場となる可能性を強く示唆している。

 中国海軍は7月、航空母艦「遼寧」を中心とする艦隊を日本近海に展開し、米軍空母を模擬した迎撃訓練を行った。この訓練では、中国軍が「米軍役」と「中国軍役」に分かれ、実際の戦闘を想定したシナリオで対抗したとされる。 台湾有事において、米軍は台湾防衛のために太平洋から艦隊を派遣する可能性が高く、その際、沖縄に駐留する米軍基地は重要な戦略拠点となる。沖縄には嘉手納空軍基地や普天間飛行場をはじめとする米軍施設が集中しており、これらは米軍の作戦展開において不可欠な役割を果たす。

 沖縄は地理的に台湾に近く、中国本土からも比較的近い位置にある。このため、台湾有事の際、米軍が沖縄の基地を活用して航空戦力や艦艇を展開することはほぼ確実だ。一方で中国にとっては、沖縄の米軍基地が自国の作戦にとって脅威となるため、これを無力化する戦略を取る可能性が高い。Xの投稿でも、「中共が台湾侵攻する時は沖縄の米軍基地を真っ先に破壊しないと中共艦隊がやられる」との意見が見られ、沖縄が攻撃目標となるリスクが指摘されている。

 沖縄が戦場となる可能性は、歴史的な事例からも裏付けられる。第二次世界大戦中の沖縄戦では、沖縄は日本本土防衛の最前線として激しい戦闘の舞台となった。2025年1月1日の沖縄タイムスの記事では、台湾有事に備えた離島住民の避難計画が「沖縄戦の疎開と酷似」していると報じられており、過去の戦争の記憶が現在の危機感に重なる。 沖縄戦では、住民が戦闘に巻き込まれ、甚大な犠牲を払った。この歴史は、現代の沖縄が再び戦場となるリスクを浮き彫りにする。

 中国の軍事戦略において、台湾有事は「第一列島線」の突破を意味する。第一列島線とは、沖縄を含む日本列島、台湾、フィリピンを結ぶラインであり、中国が太平洋への進出を図る上で重要な障壁とみなしている。沖縄の米軍基地は、このラインの要衝に位置するため、中国にとって戦略的に排除すべき目標となる。Xの投稿では、「沖縄、佐世保、場合によっては横田やグアムも打撃目標」との指摘があり、沖縄が攻撃の優先順位が高いことを示唆している。

 さらに、中国が台湾侵攻を試みる場合、海上封鎖や機雷敷設などの戦術を用いる可能性が指摘されている。特に、「台湾沖には機雷敷設があり、黒潮に乗せた浮遊機雷まで選択肢に上がる」との意見もあり、沖縄周辺海域が戦闘の中心となるリスクが浮上している。 これにより、沖縄は軍事的な衝突だけでなく、経済や物流の混乱にも直面する可能性がある。

 日本政府は、台湾有事を想定した防衛力強化や国民保護の準備を進めている。沖縄タイムスの記事では、離島住民の島外避難計画が進行中と報じられているが、これに対し、X上では「日本が戦争を望んでいるかのような言い方」との批判も出ている。 しかし、現実問題として、沖縄の住民は有事の際、最前線に立たされるリスクに直面している。防災情報や避難訓練の強化が求められるが、住民の不安は高まる一方だ。

 米国は台湾関係法に基づき、台湾の防衛を支援する立場を取っており、沖縄の米軍基地はその作戦の要となる。中国の訓練が米軍空母の迎撃を想定していることからも、米中間の軍事衝突が沖縄周辺で発生する可能性は否定できない。米国が沖縄を拠点に軍事展開を行う場合、中国はこれを阻止するために沖縄への攻撃を検討するだろう。このシナリオは、沖縄が戦場となる可能性をさらに高める。

(北島豊)

ライフ