コメの価格高騰がいっこうに収まらない中、岩手の「JA全農いわて」が打ち出した「3年契約でコメを買い取る仕組み」は、消費者価格のさらなる高騰や、市場の公正性が担保されないなど、多くの懸念が浮上している。フードライターが解説する。
「JA全農いわては、2025~27年産の主食用米を、県内各JAから一定価格でまとめて買い取る新制度を提示しました。この制度は、農家にとっては資材高騰に左右されず、収支計画を早期に立てられるという利点がありますが、一方で、こうした『買い支え策』が小売価格に上乗せされる構造は避けられないと見られています。今秋に出回る新米の買取価格(概算金)が、5キロあたり4000円を超える可能性もあるんです」
消費者からは、《3年後も高価格が固定され、値下がりを享受できないのでは》《JAによる市場囲い込みは独占禁止法違反ではないか》といった批判の声も散見され、制度の透明性や第三者による検証の必要性が叫ばれている。
「確かに、生産者を支えながら消費者の負担を軽くするのは相反するとも言えますが、契約価格の決め方や、運用ルールをしっかり管理して透明にすれば、生産者と消費者の希望を叶えられる理想的な仕組みが構築できる可能性はあるでしょう」(前出・ライター)
「3年契約」というスケールメリットを生かしつつ、価格転嫁を最大限に抑制できれば…。新たな取り組みによって、持続可能な食料政策の道筋を示すことができるか、注目が集まっている。
(ケン高田)