全国農業協同組合中央会(JA全中)は、新型コロナウイルスの感染拡大により高級和牛の販売が激減していることを受け、1万円相当の高級和牛のステーキ肉を5000人に無料で配布するキャンペーンを実施することを発表したが、ネット上では批判の声が上がっている。
「現在、神戸牛などの高級和牛は販売不振によって在庫が積み上がっており、流通業者の倉庫もほぼいっぱいになっているといいます。そのためJA全中は『がんばろう!日本の畜産・酪農応援キャンペーン』を実施。当初は5000円相当の高級和牛を20人に無料プレゼントする予定でしたが、現在は1万円相当を5000人増やし、応募期限も3月末から4月10日まで延期することも明らかにしています」(流通専門誌記者)
キャンペーンサイトにはアクセスが集中し、3月30日夜にはシステムが一時ダウンするなど注目ぶりを見せ、JA全中が「締め切りまで時間があるので、ゆっくり応募してほしい」と呼びかける事態となっている。
しかし、その一方でネット上では無料プレゼントとしたことに、《無料で配らなくても、半値以下に安くすれば買う人も出ると思うが?》《外出自粛で家で食事する人が増えているんだから、安値で流通させれば済むこと。なぜ無料なのか理解に苦しむ》《無料プレゼントするなら、子育て世帯とか低所得世帯とかに限定すればいいのに》など厳しい指摘が相次いでいる。
「JA全中が“プレゼント”という形にこだわるのは、割引価格で販売した場合のブランドイメージ低下を避ける考えがあると見られます。また、当初20人へのプレゼントを5000人に増やした背景には、自民党の農林部会が提案していた『お肉券』が頓挫したことにあると推測されます」(経済ジャーナリスト)
果たして“無料プレゼント”は正しい選択だったのか。
(小林洋三)