「JAは困った人の足元を見ているわけや」米作りの達人が“農業の闇”を怒りの暴露

 農業歴50年の「米作りの達人」が農業界の「闇」を暴露する動画が話題になっている。

 昨年5月25日に公開された「農業歴50年、米作りの達人が暴露する農業界の裏話が衝撃的すぎた…」というタイトルの動画で、新規就農した兼業農家が、農業歴50年の米作りの達人に話を聞くスタイルで進んでいく。

 達人は田植えの時期を早め、稲穂が実る時期を暑い真夏から避けることで米の品質向上を図っており、「早植えの方がはるかに品質がいい。二等米など出ない」とキッパリ。ところが県やJAは温暖化を一切考慮せず、今でも変わらず5月15日以降の「遅植え」を推奨している。そのため県の担当者は達人宅を訪れ「(メディアに出るときは)コシヒカリではなく、ハナエチゼンを植えていると言ってくれないか」と頼んできたという。

 達人の暴露は続く。

 JAの元役員だったという達人は、「価格が決まっていないうちから米を集めて、後から『いくらです』と言われる。なんでだと思う?」と問いかけると、「今の米の価格は国・政府は一切関与していない。全部民間。JAは民間の価格が出揃ってから、『ではこれぐらいにしよう』と役員会で決定するわけよ。なんでコメの出荷の前に価格表示をできないんや。インチキで話にならないことをやっている」と断罪。

 さらに米の検査手数料について、「民間でやると1俵、消費税入れて99円でできる。しかし農協では650円取られる。他に保管料、運賃、全部入れたら1俵2000円ぐらいになる。米の買取価格は安いのにそこからまた2000円引かれる。はたしてそれでいいのか。協同組合というけど、こんなのむちゃくちゃよ」と一刀両断だ。

 そして国の農業政策についても、こう怒りをぶちまけた。

「日本の農業は国がどういう農業政策を打ち出すかにかかっている。スイスなどでは収益の3分の1を国が補填している。欧州で農業の補助をしない国なんて1つもないよ。日本だけでしょ、米の生産に何の補助金も出さないのは。個人で勝手にやってと。ならばなんで田んぼ、耕作を国が管理すんじゃと。ふざけんなと。こういう農業政策をやっている以上、若い人は絶対に継がない!」

 政府は先月31日になって、ようやく備蓄米の放出を発表した。しかし一部の業者が米を余分にストックしており、いまだに価格は高止まりしたままだ。一般の消費者にとって、米の流通経路や価格決定がどのようにして行われるのかは、かなり分かりづらい。

 今回の動画を見る限り、米を取り巻く「闇」はかなり深そうだ。

(ケン高田)

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