「ロシアが世界中で航空テロを画策」ポーランド首相“爆弾発言”の根拠

 ウクライナと国境を接していることから支援活動の重要な中継地となっているポーランド。だが、ロシアの飛び地カリーニングラードやその同盟国ベラルーシと国境を接しており、バルト三国やフィンランドなどと同様、西側諸国の中でも常にロシアの脅威に晒されている国のひとつだ。

 そのポーランドのドナルド・トゥスク首相は1月15日、ワルシャワでウクライナのゼレンスキー大統領と会談。そこで行われた記者会見で語った衝撃の内容が波紋を呼んでいる

「ロシアは航空テロを画策していた。それはポーランドだけではなく、世界中の航空会社に対してもだ」

 これは各国で大きなニュースとして伝えられたが、当然根拠となる出来事が存在する。昨年11月25日、ドイツのライプチヒからリトアニアの首都ビリニュスに向かうDHLの貨物機が着陸直前に墜落。乗員1名が亡くなったが、ドイツのアナレーナ・ベーアボック外相は“ハイブリッド攻撃”という言葉を用いて外国勢力の関与を示唆するなど、テロの疑いが払拭できないとしている。

「ハイブリッド攻撃とは、サイバー攻撃やインフラ設備の破壊などの工作活動を指し、ここ数年で広く使われるようになった造語です。特に欧州でロシアの関与が疑われる事件・事故にこの言葉が用いられます」(軍事ジャーナリスト)

 ロシアによるハイブリット攻撃の疑いが強いと見られているのが、24年7月にDHL社が所有するライプチヒと英国バーミンガムの物流センターで相次いで起きた発火事故。いずれも自動発火装置が仕込まれた荷物が火元で、米紙ウォールストリートジャーナルなど欧米主要メディアはロシアの犯行と指摘。ロシア側は否定したが、ポーランド当局は10月に犯行に関わったとされる4名を逮捕している。

「トゥスク首相の発言は、こうした一連の出来事を踏まえた上での各国に向けた警鐘なのでしょう。つまり、ロシアとウクライナの国境地帯で行われている戦闘だけがすべてではないということです」(同)

 日本には関係ないと思われがちだだが、ロシアに非友好国認定されていることを忘れてはならない。もはや対岸の火事ではないのだ。

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