「ロシア不参加」で浮き彫りになった大阪・関西万博の「利用価値」

 ニュースが更新されるたびに「カネ食い虫」のイメージが強くなる一方の大阪・関西万博。

 11月26日には、日本維新の会の馬場伸幸代表が「大阪ではほとんど反対意見が出ない状況になっている」と発言し、全国から一斉ブーイングを浴びた。そうした推進側と国民の間に温度差が生まれる中、28日にはロシアが不参加を表明し、波紋を大きくしているようだ。

「フランスで開かれていた博覧会国際事務局総会で、ロシア代表が『主催者との十分なコミュニケーションが取れていない』『一部参加国の偏った態度にさらされた』と述べ、万博からの撤退を表明しました。すると松野博一官房長官は、売り言葉に買い言葉とばかりに『ロシアによるウクライナ侵攻は、大阪・関西万博のテーマであるいのち輝く未来社会のデザインの理念と相容れない』と反駁したのです」(政治部記者)

 ならば、最初から参加を拒否すればよさそうなものだが、一般の人はむしろ、ロシアが万博にパビリオンを出展するつもりであったことに驚いた人が多かったようだ。

「今回の撤退表明を当然のなりゆきと捉えず、むしろ日本が戦争終結に関わっていくチャンスを失ったのではないか、日本政府はロシアの撤退を嘆くべきなのではないか…といった意見も少なくありません。確かにロシアを排除するだけでは、日々戦場でいのちが失われている状況は変わらないですからね。いのち輝く未来”のためにも、逆にこの平和の祭典に参加してもらうべきだったかもしれません」(前出・記者)

 一方で、イスラエル軍による激しい戦火にさらされているパレスチナは、パビリオン出展を改めて表明。駐日パレスチナ常駐総代表部のシアム大使は「万博で私たちが存在しているということを世界に伝えたい」「私たちは“いのち”が欲しい。皆さんと同じように生きたい」と訴えた。松野官房長官はイスラエルとパレスチナの万博参加については今のところ発言していない。

 世界中が紛争などで混とんとする中、日本国内も万博への税金投入問題で一触即発ムード。大阪・関西万博の政治色の濃さがまたしても浮き彫りになった。

(飯野さつき)

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