政権の行方を占う“天下分け目の戦い”とされる参院選が今夏に行われる。その参院選を左右するのが、直前におこなわれる東京都議会議員選挙だ。都議選をめぐっては、先の都知事選で大善戦した石丸伸二・前安芸高田市長が地域政党「再生の道」を設立。小池百合子都知事、自民党陣営も動きが活発化している。
自民党についてはキナ臭い話も出始めている。テレビ局関係者が明かす。
「1月5日放送の読売テレビ『そこまで言って委員会NP』で元NHK記者・岩田明子氏が『石破内閣の本丸で特捜部案件とか起きたらどうしようかなと心配しています』とコメント。するとコメンテーターの須田慎一郎氏がズバリ、『特捜部案件、あるんですよ。自民党東京都連を巡る政治と金の問題。裏金がここで出てきてる』と暴露し、スタジオが騒然となった。自民党の裏金問題とまったく同じパターンで、いま特捜部が都議会自民党を内偵中で、それが都議選前に爆発しそうだというのです」
今後どうなるか。自民党ベテラン秘書が言う。
「仮に自民党都連に裏金問題が発覚すれば、30数年前、都議選で日本新党が大躍進したように石丸新党の躍進もありうる。同年は総選挙で自民党が分裂、下野しているが、今回も参院選で自民党大敗も出てくる。そのため自民も最悪のケースを想定しながら対策を急いでいる」
92年、永田町では東京佐川急便事件が勃発し佐川側から当時の自民党のドン金丸信氏に選挙資金5億円が渡されていたことなどが発覚、自民党の信頼は地に堕ちた。これらの事件と相前後し、元熊本県知事・細川護熙氏が「政治改革と刷新」を掲げ日本新党を立ち上げ、93年の都議選では20議席を獲得、さらに直後の衆院選では選挙前議席0から一挙35人が大量当選する。結果、細川氏を総理にした非自民政権が誕生した。
政治アナリストが指摘する。
「小池都知事は、特捜部の動きをいち早く察していた節もある。仮に都議会自民党に特捜のメスが入ると大躍進するのは石丸新党だ。となれば、都議会で大きな勢力を持つ小池氏が立ち上げた都民ファーストも、石丸新党に食われる可能性が出てくる。都政運営が難しくなるため、小池都知事にすれば、それは断固阻止したいところ」
小池都知事としては、小池都政への都民の支持を確固たるものにするため、自分の影響下にある都民ファーストの票につなげたい。そこでいま「都民が喜ぶ政策をマシンガンのように25年予算に次々と盛り込む案を発表している」(都議会関係者)という。
例えば、今年度から子育て世帯へ1人あたり5万円を増額する案、働き方改革などで社員の余暇時間を増やす中小企業に最大230万円の奨励金を支給する案、都民対象に若者の海外留学費用の助成として年間最大で315万円助成案、今年4月以降に都内教員採用者などに返還奨学金を最大150万円肩代わりする案、などだ。
「都知事選で石丸氏を支持した層を意識しているように若い人や女性に対し手厚い策が目立つ」(前出・都議会関係者)
特捜部の動きと都議選から目が離せない。
(田村建光)