年末の永田町では岸田前首相がポスト石破でソロリと動きはじめたのでは、ともっぱらだ。政治アナリストが言う。
「岸田氏は11月末、側近の木原誠二選対委員長らを巻き込んで30人規模の国会議員が参加する新議員連盟『資産運用立国議連』を立ち上げて会長になった。狙いは自ら首相時代に取り組んだ、個人投資を促す新NISAなどの拡充策だという。しかしこの議連、旧安倍派や麻生派内では、岸田院政かポスト石破に向けたテイのいい新派閥と囁かれています」
自民党長老もこう見る。
「岸田のあとの次の自民党政権は総選挙前から裏金で苦戦するというのは分かっていた。だから岸田は、その汚れ役、ガス抜き役を石破に押し付け自分は『イチ抜けた』とトンずらした。そして石破内閣が苦労して苦労して適度にガスが抜けたなら、もう一度再登板するつもりでは。そのためには、岸田派は解散してしまったので結束を強めておく必要がある。それが『資産議連』ではないか」
岸田前首相が「俺が立つ以外に誰がいる」と得意になるのもうなずけると、自民党議員が言う。
「ポスト石破候補に誰がいるかだ。最後まで石破氏と争った高市氏は裏金や総選挙で支持基盤がガタガタ。ほかにも進次郎氏などもいるがトランプ、プーチン相手では力不足は否めない。そのため岸田氏は、今の混沌とした世界に伍していけるのは長年外相や首相を務めた自分しかいないと思っているのでは」
また、党内では院政との両ニラミという説もある。自民党中堅議員が指摘する。
「石破首相には親密な仲間や先輩がいないことから、最近は岸田頼りが際立っている。11月末には26、28日と官邸で、そして29日夕には神田の蕎麦店で酒を酌み交わすなど3連チャン。岸田氏はこうして石破首相に陰でアドバイスしながら、党内の風向きを見て再登板か院政かを両ニラミしているように見える。麻生氏、菅氏らが高齢などで日々存在感が薄れる中、岸田前首相の高笑いが聞こえるようだ」
「増税メガネ」と大批判を浴び支持率も低迷し退陣した岸田氏。再登板の話が出てくるようでは、自民党、いや日本政界は人材不足なのか。
(田村建光)