山梨県立美術館のボランティアスタッフ募集が、物議を醸している。
同美術館は、1978年の開館以来「ミレーの美術館」として親しまれており、館内には代表作である「種をまく」をはじめ「落ち穂拾い、夏」や、幻の名作と呼ばれる「角笛を吹く牛飼い」などが展示され、誰でも名画を見ることができると広く親しまれている。
そんな美術館のボランティアスタッフ「募集要件」に、疑問の声が上がっているのだ。要件には「18歳以上で美術文化等に理解と関心のある方」「所属する部門で月1~2回、数時間程度の活動に参加可能な方」などとあるが、疑問視されているのは「ボランティア保険加入、通信費等で年1000円徴収いたします」という項目だ。
SNS上では「これ、学芸員の非正規すら雇う気のないやりがい奴隷募集です」「ボランティアだとしても費用を徴収されるというのはどうなの?」「せめてボランティア保険くらい出しなよ」「角笛を吹く牛飼いに8900万円出して、ボランティアには1000円徴収ってセコい」などと批判の声が上がっている。
近年多くの美術館でボランティアが募集されているが、その際、ボランティア保険の加入を義務付けるケースは珍しくない。一方であくまでもボランティアなのに、なぜ保険代まで出さなくてはならないのかという意見があるのも事実だ。山梨県立美術館では「徴収」という言葉を使っているが、せめて「ご負担いただきます」と表記するだけでも、受ける印象は大きく違ったのではないか。
たとえ無償とはいえ、美術館業務に従事することで世界的名画に接することができ、学びを得られるというメリットは確かにある。しかし、どこか上から目線を感じるのは、筆者だけだろうか。
(ケン高田)