シンクタンクの「言論NPO」が毎年行っている中国との共同世論調査。今年は“日本に対する印象”で「良くない」、「どちらかと言えば良くない」と答えた中国人が87.8%に上り、昨年より24.8%も増加した結果となった。
情報源についての設問では、53.9%が「SNS」と答えている。そして中国のニュースメディアについても、「テレビ」の30.2%に対し「携帯機器からのインターネット」が55.5%で、やはりネット空間からの情報に偏重。とりわけ中国のネット空間は規制が厳しいので、偏った情報に左右されていると想像できる。
だが、いくら中国人が日本に対し良くない印象を持っていようと、中国政府は目下、アメリカの第2次トランプ政権の試練を前にして、日本を取り込もうとする“擦り寄り”外交を展開中だ。
「日本の石破茂首相と中国の習近平国家主席は11月16日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)で訪れていた南米ペルーで首脳会談を行いましたが、習氏は珍しく笑顔で石破氏に握手を求めていました。そして会談が終わると石破氏は『非常に噛み合った意見交換ができた』と満足気。福島原発での処理水放出以来、中国が行っている日本の水産物の輸入禁止でも、態度の軟化が目立ったとされています」(全国紙記者)
また中国は11月22日、韓国に続いて短期滞在ビザの免除国を拡大決定。そこには日本も含まれていた。加えて昨年7月、尖閣諸島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)内に勝手に設置して放置されているブイについても、動かす方針との情報が一部で伝えられている。
ただ、ビザの免除に関しては、日本の記者が中国外交部報道官に「理由は何か?」と詰め寄ったところ、中国国内のSNSで「失礼な質問だ」といった反発の声で盛り上がったようで、やはりこの辺りに冒頭の世論調査にあったような“嫌日”の雰囲気が窺えるのである。
(猫間滋)