国民民主党の躍進で注目を集める「年収の壁」。この壁の引き上げについて、税収減を危惧する声があがる中、国民民主党の榛葉賀津也幹事長は11月15日の記者会見で「財源論の前に国民の生存権だ」と主張していたが、まさに今、貧困世帯の生存権が脅かされようとしている。
11月20日放送の「報道1930」(BS-TBS)は、“見えぬホームレスの現場”と銘打って生活保護問題を取り上げたのだが、参議院議員で自民党政務調査会長代理の肩書きを持つ片山さつき氏が、貧困支援団体代表とのやり取りの中で、“驚きの発言”をしたとネット上で話題になっている。
番組にリモート出演したのは、愛知県一宮市にある貧困支援団体「のわみ相談所」の代表。VTRの中で「生活保護を受けていても生活保護だけでは生活できない」と指摘し、一人暮らしで10万6000円が支給されても、物価が上がっているため、「生活は無理」「生活保護の仕組みを変える必要があるんじゃないか」と語っていた。
スタジオにいる3人の国会議員とリモートで対峙した支援団体代表は、「国会で、困窮者の方々に本当に安心して暮らせるような、そういう生活ができるような、そういう法律や制度をぜひ作っていただきたい」と訴えた。
これに対応した片山さつき氏はこう語り始めた。
「まず、リーマンショックの後に私、派遣村って、東京でも浜松でも行きまして、その後、西成とか山谷とか見てまわりまして…。生活保護自体にもいろいろと課題や問題があって、もっと現物がないと、フランスの『心のレストラン』みたいなことができないので…。不正とか、おかしな中間搾取とかもいっぱいあったんですよ。いわゆる貧困ビジネス…」
その後も片山氏は手元の資料を読みながら、生活困窮者自立支援制度や就労支援について延々と説明を繰り返していたが、SNSでは《リーマンショックっていつの時代よ》《2008年の話をされても》《ぜんぜん答えになってない》などと驚きの声が寄せられていた。
「貧困支援団体の代表は憲法の生存権を保障できるよう、生活保護費の拡充を訴えていたのですが、片山氏は10年以上も前のエピソードを持ち出して、不正受給や貧困ビジネスについて言及。貧困支援の取り組みは自治体によってバラつきがあるなどと述べて、議論をすり替えているように映りました。片山氏といえば、過去に『生活保護を恥と思わないのが問題』『生活保護は働けるのに働かない人々を生み出す』などと否定的な発言をしたことで知られる人物ですからね。片山氏が要職を務める自民党が与党である限り、生活保護法の改正は望めないかもしれません」(メディア誌ライター)
多くの視聴者が感じたように、やはり番組に呼ぶべきではなかったかもしれない。