「結局は同じこと」山梨県、富士山登山鉄道断念⇒ゴムタイヤ式「富士トラム」方針転換に呆れ声

 山梨県が富士山観光の最終アクセスで導入を検討していた次世代型路面電車のLRTを走らせるという案だが、11月18日に県が「断念」を表明し、代わりにゴムタイヤで走る「富士トラム(仮称)」を導入する方針にしたという。

「現在の富士登山は、電車で富士急行の河口湖駅まで行き、その後は観光バスで5合目まで行くか、車であれば富士吉田IC―富士スバルラインで5合目まで行くかです。ただ、これでは環境負荷の低減が図れず、車での来訪者にはマイカー規制が行われましたが、さらなる対策が必要とされていました。そこで山梨県が持ち出したのが、富士吉田IC辺りから5合目までの富士スバルラインにLRTを走らせる富士登山鉄道構想。これなら環境への負荷を引き下げられるという狙いでした」(経済ジャーナリスト)

 ところが約1400億円という建設費と地元の反対により頓挫。代わりに今回のトラム案が浮上してきたというわけだ。新たに持ち上がったトラムは水素を動力源とするというもの。クリーンの上にゴムタイヤなので、延伸も既存の道路を延ばすだけで可能。それをリニア新幹線が停まる新駅に繋いでしまえば一挙両得だ。

 だが、「結局は同じではないか」との意見が地元を中心に上がっている。というのも、LRT案ではコストと環境面で地元の反対があったとされるが、そもそも構想自体に地元の利権に絡む対立があり、しかも政治家が絡んでいるからだ。

「13年に富士山が世界遺産に登録された際、環境負荷の低減は宿題とされていました。そこで富士山登山鉄道プランが持ち上がり、現在2期目の長崎幸太郎県知事も昨年1月の山梨県知事選挙での公約に掲げていました。ところが地元の鉄道網を牛耳る富士急行の堀内家と長崎知事は、長崎氏が知事になる前、衆院選挙区で長らく議席を争ってきた関係にある。地元の反対は環境面だけでなく、この因縁を反映しています」(地元関係者)

 そのため今回の代替案が出されると、SNSでは「結局は同じこと」、「長崎知事のレガシー作り」、「本当に富士急行が嫌いなんだな」という声が。富士急行では観光バスをEVに転嫁中だが、そもそも観光バス運行の利権も奪われかねない。

 またトラムでは、中国製トラムの導入も検討と報じられたものだから、長崎知事は二階俊博元自民党幹事長の二階派だったことから、二階氏の親中ぶりとの関係も指摘され、果ては長崎知事が二階派から受け取っていた1182万円が政治資金収支報告書に不記載だったことが発覚する始末。と、クリーンな話の裏で、なんともドロドロした展開である。

(猫間滋)

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