8月7日に開幕を迎える夏の甲子園。甲子園出場校や地方予選ベスト8以上の強豪校に私立が多いのは相変わらずだが、近年健闘ぶりが光るのは、同じ私立でも通信制高校だ。
特に有名なのはクラーク記念国際(北北海道)。今年の夏の地方大会では決勝で白樺学園に2-5で惜しくも敗れたが、昨年は春夏連続出場を果たすなど今や全国区の強豪として知られている。
また、勢力図が大きく変わったと言われているのが沖縄。地方大会では優勝こそ名門・興南だったが、準優勝のエナジックをはじめ、ベスト4のウェルネス、KBC未来と4校中3校が通信制を置いている。
「通信制の場合、全日制と違い日中に教室で授業を受ける必要はありません。オンライン授業や課題の提出というスタイルのため、夜などの空き時間に勉強を行い、文字通り野球漬けの生活を送ることができるわけです」(スポーツ紙高校野球担当記者)
学生スポーツの中でも高校野球部は平均練習時間が長く、戦力的に劣る高校が練習によって差をつけるのは難しい。しかし、通信制であれば練習時間をより長く確保でき、短期間でチーム強化を図れるメリットもあるとか。
「優秀な指導者を招聘し、専用グラウンドを持つところももあり、伝統がないだけで練習環境としては申し分ありません」(同)
全日制の私立高校にも通信制コースを設けているところもある。実際には通信制の生徒の運動部参加を認めない学校も多いが、これも最近は変わりつつあるようだ。
「例えば、今年は県ベスト16止まりでしたが、22年夏をはじめ、夏4回・春1回の出場を誇る聖望学園(埼玉)は、昨年度から通信制課程を開校。学校ホームページには条件付きながら硬式野球部の参加が可能とあります」(同)
かつては通信制の学生には縁がなかった甲子園だが、それも今では過去のこと。むしろ、カリキュラムの自由度が高く、野球にも打ち込める通信制高校をあえて進学先に選ぶ球児が今後は増えるのかもしれない。