「トランプの尻を叩く男」共和党副大統領候補・バンス氏は超強気なアメリカ第一主義者だった

 バイデン大統領が撤退を表明し、風雲急を告げている大統領選。この撤退により、トランプ前大統領の「もしトラ」が「確トラ」になるとも報じられる中、トランプ氏よりも「厄介な男」が陣営の中核に入ったことが注目されている。

 その男とは、トランプ氏が副大統領候補として指名したJ・D・バンス上院議員だ。

「まだ39歳という若さのバンス氏は、赤貧の幼少時代を送り、苦学した後、米国海兵隊に入隊し、イラク戦争に従軍しました。その後、オハイオ州立大学を経てイエール大学ロースクールを卒業し、弁護士となっています。その一方で、スタートアップ企業に投資するベンチャーキャピタリストとしても活躍しましたね。22年にトランプ氏の支援を受けて、オハイオ州上院議員選挙に出馬し、当選して今に至っています」(欧州のシンクタンク研究員)

 そんなバンス氏は、超のつく「強気な男」としても知られる。トランプ氏よりアメリカ第一主義であり、トランプ氏が妥協しそうになる案件でも強硬姿勢を貫き、「トランプ氏の尻を叩く男」とも言われているのだ。

 例えば、日本製鉄が2兆円を投じることで合意したアメリカの鉄鋼大手USスチールの買収問題がある。この合併に一貫して反対しているのがバンス氏だ。

「今年に入っても、USスチール経営陣に書簡を送り、『外国による買収は安全保障上リスクをもたらす』と改めて懸念を表明しています。副大統領になれば、トランプ氏とともに買収を白紙に戻そうとするに違いありません」(前出・研究員)

 さらに、バンス氏は、ウクライナ問題にも強硬姿勢だ。FOXニュースの取材に対し、「トランプ氏は、ロシアやウクライナと交渉し、事態を迅速に収束させ、最大の脅威である中国に集中することを約束している」と強調し、ウクライナ支援に関する「終止符宣言」とも取れる発言をしている。

 対岸で吹き始めたバンス旋風が、今後、日本にどんな影響を与えるのか、大統領選の行方とともに、片時も目が離せないのである。

(田村 建光)

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